2015 Fiscal Year Research-status Report
原因不明不育症における新規自己抗体とその標的抗原の同定
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25462578
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
竹下 俊行 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60188175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 慶充 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40373013)
峯 克也 日本医科大学, 医学部, 助教 (60409216) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗リン脂質抗体症候群 / 血清学的陰性 / 病態責任分子 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床的に抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断基準を満たすが血清学的にAPSの基準を満たさない不育症患者(Serologically negative-APS: SN-APS)における未知の病態関連分子の探索を目的として以下の検討を行った。 ①SN-APS の病態関連分子候補のスクリーング・同定:精製血漿タンパクを抗原とし、コントロール血清およびSN-APS 患者血清のプールを一次抗体とした二次元免疫ブロッティングを行い、後者に特異的な反応性スポットを質量分析器により解析し、SN-APS の病態関連分子候補として補体分子C9を同定した。 ②スポットの再現性の確認:二次元免疫ブロッティングを反復しスポットの再現性を確認すると共に、精製血漿蛋白と精製C9を同時に二次元電気泳動する事により、検出されたスポットが精製C9と生化学的に同一である事を確認した。 ③一次元免疫ブロッティングによる検出系の確立:精製血漿タンパクおよび精製C9を抗原とした一次元免疫ブロッティングでは、いずれもSN-APS 患者のプール血清と反応を認めなかった。そこで二次元電気泳動同様にUreaによる可溶化処理とヨードアセトアアミドによるアルキル化処理を行った精製血漿タンパク抗原を用いてSDS-PAGE~ウェスタンブロットを施行したところ、C9に反応性のバンドが検出可能となった。すなわち、一定の条件下で表出する補体C9の特異的エピトープに反応する自己抗体の存在が示唆される。 ④不育症患者血清における抗C9抗体の検出:当院不育症外来受診患者の検査後残血清を凍結保存し、患者プロファイルを反映させたデーターベースの構築を行っている。これらの中から既知血栓素因を有さないSN-APS患者、APL以外の既知血栓素因(第十二因子欠乏症、プロテインS欠乏症, 抗PE抗体陽性)を認めるSN-APS患者、APS患者の血清を抽出し、一次元免疫ブロッティングによる検出系を用いて抗C9抗体のスクリーニングを順次進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SN-APS の病態関連分子候補として補体分子C9を同定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①臨床検体の採取およびデーターベースの構築・一次元免疫ブロッティングによるスクリーニングを継続し、統計的手法とあわせ、抗C9抗体がSN-APS患者特異的な自己抗体であるかを判定する。 ②①結果を踏まえてエピトープマッピングに進み、特異的反応部位を同定する。 ③血清中の抗C9抗体を検出するELISA系を確立し、臨床展開を目指す。
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Causes of Carryover |
研究成果発表を国際学会で発表する予定であったが、開催地のテロ発生などの不安要因があり中止した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内学会発表に切り替える予定。
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