2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病網膜症におけるGAG糖鎖およびRAGEの関連性解析
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25462701
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉澤 史子 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (80533653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 一幸 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 名誉教授 (60154449)
神田 敦宏 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (80342707)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 糖鎖 / 硫酸化グリコサミノグリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた我が国では、国民の健康を維持することは社会的に重要な課題となっている。さらに、世界規模で肥満は増加の一途をたどっており、そして生活習慣病に伴う糖尿病の罹患率、死亡率の増加はますます重要な課題となっている。糖尿病の3大合併症の一つ、糖尿病網膜症は我が国における主要な失明原因であり、血管新生の前駆段階である炎症病態に早期介入する治療戦略の確立は、失明や重度の視力障害を回避するための社会的急務である。これまでに慢性炎症に附随する白血球浸潤が糖尿病網膜症の病態において重要な役割を担っていることを明らかにした。 我々は、近年癌細胞の転移に深く関与することが報告された糖鎖修飾、なかでも硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)多糖鎖に着目した。GAGの構造変化が、細胞増殖・細胞分化・ウイルス感染・神経再生や幹細胞の分化さらには細胞の癌化や癌の悪性化に関与していることがわかっている。血管内皮への白血球接着と癌細胞接着には類似する箇所が多くあるため、白血球がGAG糖鎖を介して糖尿病網膜症の病態に関わっている可能性が考えられる。 本研究では、糖尿病網膜症患者より採取した臨床検体、さらに糖尿病網膜症モデルマウスを用いて糖尿病網膜症における白血球接着・浸潤へのGAG糖鎖の関与について詳細な生物学的解析を行う。本年度は、糖尿病網膜症における網膜血管への白血球接着にGAG糖鎖-RAGE系が関与しているかを明らかにするべく、ストレプトゾトシン誘導糖尿病モデルマウスにおけるGAG糖鎖を主とする糖鎖解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常マウスから採取したリンパ球を用いてコンドロチイン硫酸(CS)の二糖組成分析および定量を行った。その結果、マウスのリンパ球からCS由来の二糖のピークが観察され、4-O-硫酸化構造である A-unit [ΔHexUA-GalNAc(4-O-sulfate)] (ΔHexUAおよび GalNAc はそれぞれ、4,5-不飽和ヘキスロン酸とN-アセチルガラクトサミンを表す) が主要な硫酸化修飾構造として存在していることが分かった。 そして、糖尿病によるGAG糖鎖の変化を調べるため、ストレプトゾトシン投与後1ヶ月の糖尿病誘導モデルマウスより白血球を用いて、同様の解析を行った。しかし、コントロールマウスと比較して、顕著な差は認めらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病罹患期間が短く有意な差が認められなかった可能性が考えられる。今後はストレプトゾトシン投与後2ヶ月以上のマウス白血球での解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画に沿って、研究費は順調に使用されている。少額の研究費が残存したが、次年度の研究費として繰越をおこなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述の検討が終了していない平成27年度に施行予定であった実験費用に使用する予定である。
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