2013 Fiscal Year Research-status Report
角膜実質瘢痕形成における実質細胞分化転換誘導因子とアクチン重合関連タンパクの検討
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25462716
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森重 直行 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40346565)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 角膜実質 / 筋線維芽細胞 / α平滑筋アクチン / Palladin / TGFβ |
Research Abstract |
本年度は,角膜実質および角膜実質細胞におけるアクチン重合関連タンパクPalladinの発現およびTGFβに対する反応性を検討した。 角膜実質において,瘢痕形成を起こすとその部位は混濁し,視力の妨げとなる。瘢痕形成部位では,角膜実質細胞が筋線維芽細胞に分化転換することが知られており,α-平滑筋アクチン(αSMA)がそのマーカーとなる。そこで,ヒト角膜検体における瘢痕形成部位におけるαSMAおよびPalladinの発現を検討した。ヒト疾患角膜のうち,瘢痕形成を起こす円錐角膜急性水腫検体において,瘢痕形成部位にαSMA陽性細胞の発現を確認した。同一検体において,筋線維芽細胞発現し瘢痕形成をしている部位周囲位にPalladinの発現が認められた。これらの結果から,瘢痕形成を起こす部位において,Palladinが発現していることが確認できたため,培養細胞における発現を検討した。培養ヒト角膜実質細胞をTGFβで刺激すると,TGFβの濃度依存性にαSMAの発現が増加した。αSMAの発現と同様に,培養角膜実質細胞におけるPalladinの発現も増加していた。また,培養角膜実質細胞をTGFβ刺激し,経時的にαSMAとPalladinの発現を検討すると,TGFβ刺激開始24時間後よりαSMAとPalladinの発現が亢進した。これらのことより,αSMA陽性筋線維芽細胞の発現とPalladinの発現はTGFβにより連動して制御されていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト検体におけるPalladinの発現およびヒト角膜実質細胞における発現はこれまで報告がなく,我々が当初設定した目標を達成していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
培養ヒト角膜実質細胞におけるPalladin発現をより詳細に検討する。 TGFβ刺激によりPalladinの発現が亢進することが確認できたので,TGFβ刺激を制御することでPalladinの発現が変動するかを検討する。TGFβシグナルを抑制することでαSMAやPalladinの発現が変化するかどうかを検討する。また,Palladinの発現を抑制することでαSMAの発現が変化するかどうかを,遺伝子レベルでPalladinの発現を制御して検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究自体はおおむね順調に進んでいる。そのことから試薬購入費が予定より低額に抑えられたため,次年度使用額が生じた。 次年度は,TGFβシグナル阻害実験及びRNA干渉実験を予定しているため,平成26年度の試薬購入費と併せて使用する。
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