2014 Fiscal Year Research-status Report
角膜実質瘢痕形成における実質細胞分化転換誘導因子とアクチン重合関連タンパクの検討
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25462716
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森重 直行 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40346565)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 角膜実質 / α平滑筋アクチン / Palladin |
Outline of Annual Research Achievements |
角膜実質細胞は,種々の刺激により線維芽細胞または筋線維芽細胞へとその表現型を変化させ,アクチン重合を進め分化転換を行う。アクチン重合に関与するタンパク質の一つであるPalladinの発現について検討した。 角膜実質に切創を作成した創傷治癒モデルにおけるPalladinおよびα平滑筋アクチン(αSMA)の発現を免疫染色法で検討した。正常ヒト角膜実質より採取した培養ヒト角膜実質細胞を対象とした。TGFβ刺激およびMAPK系シグナルの阻害剤によるPalladinの発現の濃度依存性変化,経時的変化をウェスタンブロッティング法及び細胞形態を観察評価した。また,siRNAでPalladin発現を抑制しその動態を評価した。 切創作成後72時間より1週間にわたり,切創の最深部にαSMAが発現し,Palladinも共局在していた。培養ヒト角膜実質細胞を用いた検討では,角膜実質細胞には90kDaのPalladinが発現していたが,TGFβ刺激により90kDaに加え140kDaのPalladinが発現した。TGFβの濃度依存性に140kDaのPalladinの発現が亢進し,その発現はαSMAの発現が亢進する24時間ごろよりみられた。MEK1およびp38を阻害しTGFβ刺激しても,140kDa Palladin及びαSMAの発現は低下した。siRNAを用いてPalladinの発現を抑制すると,TGFβ刺激を行っても140kDa PalladinおよびαSMAの発現は抑制された。 TGFβ刺激によるαSMA発現に140kDa Palladinが関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivoモデルにおける標的タンパク質の検出およびその創傷治癒過程における変化の検出を完了している。また,in vitroの系を用いて,タンパク質レベルおよび遺伝子レベルの発現変化の検出まで進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ヒト疾患角膜を採取し,免疫組織学的に疾患角膜における標的タンパク質の発現の検討を行う。また,培養細胞を用いてPalladin発現の制御に関する研究を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究は順調に進行した。ヒト検体における評価を行う必要性が生じたが,ヒト検体の採取に時間がかかるため,次年度にまたがって研究を行うこととし,当該年度で確保していた予算を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒト検体採取を行い,免疫組織学的に検討を行う。
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