2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462723
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
大黒 浩 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30203748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 晃 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70136927)
平岡 美紀 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80246983)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌関連網膜症 / 自己免疫網膜症 |
Research Abstract |
癌患者の一部に腫瘍組織と神経組織に共通抗原が生じるためこれらに自己免疫を獲得し、種々の神経障害を呈するparaneoplastic syndrome(PNS)が知られている。このうち癌関連網膜症では、同様な機序で網膜に対する自己免疫を獲得し、網膜色素変性様の進行性の網膜変性をきたす疾患で、これには肺癌等に随伴し、狭義の癌関連網膜症CAR(cancer-associated retinopathy)と、悪性黒色腫に随伴し、CARとは臨床像が異なり、病理学的に網膜双極細胞が障害される悪性黒色腫随伴網膜症MAR (melanoma associated retinopathy)の2種類がある。 CARおよびMAR患者の血清中には網膜に特異に発現し、視覚情報の処理機構に深くかかわる因子に対する自己抗体が検出され、これが網膜を特異的に傷害することで発症することが報告されている。CAR では網膜視細胞で明暗順応を制御するCa2+結合蛋白質リカバリンなどの網膜抗原に対する自己抗体が、MARではヒト TRPM1 の変異が先天性停止性夜盲症の原因遺伝子で網膜 ON 双極細胞の活動を司るイオンチャネルTRPM1 に対する自己抗体の存在が報告されている。 今回申請者らは平成25年にまず最初 ➀なぜ腫瘍の違い、癌、悪性黒色腫、良性腫瘍で類似のあるいは異なる網膜自己抗体ができるのか?を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回種々の異なる臓器で異なる重症度の癌組織および良性腫瘍を網羅的に解析するために、種々の異なる臓器で異なる重症度の癌患者の手術時に得られた複数のパラフィン組織を各腫瘍ごとに1枚のスライドグラスにマウントした腫瘍チップのプレパラートを用い免疫組織学的手法およびin situ hybridization法によりリカバリン異所性発現の陽性率を検討した。 また、リカバリンおよびTRPM1がある種の癌細胞に異所性発現することは、間違いなくこれらの遺伝子発現を制御する遺伝子プロモーターおよび転写機構に何らかの秘密が隠されているものと想像されるためこれらのプロモーターの解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果を土台に今後は、なぜ腫瘍が無いにもかかわらず、網膜自己抗体ができるのか?に対する回答を出すためにすでにCARおよび良性腫瘍で自己抗原として見出されているリカバリンとCAR およびMARで自己抗原として見出されているTRPM1について以下の検討を行う予定である。
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