2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462738
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
林 孝彰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10297418)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 網膜色素変性 / 錐体杆体ジストロフィ / ヒトゲノム / 遺伝子解析 / エクソーム解析 / 臨床遺伝学 / 次世代シークエンサ / Leber先天盲 |
Research Abstract |
網膜色素変性およびその類縁疾患は、本邦における失明原因の上位に位置し、治療法の開発が急務でありながら、現在、決定的な治療方法が確立していない難病である。網膜色素変性およびその類縁疾患の原因は多岐にわたり、原因となる遺伝子変異を特定することは困難である。本研究は、候補遺伝子の分子遺伝学的アプローチにより、原因となる遺伝子変異を検出・特定し、表現型との関連性について明らかにすることを目的とした。 研究実施概要 1. 当科の網脈絡膜変性疾患専門外来にて、対象疾患が疑われた症例に対し、臨床診断を行った後、遺伝子診断・解析の意義について十分に説明した。遺伝子解析に対し、インフォームド・コンセントを得た後、末梢静脈血を採取した。白血球分離後、高分子ゲノムDNAを抽出後、冷蔵庫に保存し、一部は、エタノール沈殿下で半永久的に冷凍保存した。 2. 平成25年度は、候補遺伝子に対して、Sanger法で各エクソンの塩基配列を決定した。原因遺伝子を特定できない場合、次世代シークエンサを用い、候補遺伝子を絞り、再度、Sanger法で遺伝子変異の有無を確認した。 3. その結果、常染色体優性網膜色素変性、常染色体劣性網膜色素変性、Leber先天盲で、いくつかの原因遺伝子を特定した。変異が検出された遺伝子は、ALMS1, RHO, PRPH2, C8orf37, EYS, CNGA1であった。今後は、遺伝子変異と疾患との連鎖・共分離を確認する目的で、できる限り、遺伝カウンセリングとともに家系調査を実施していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 若年発症性網膜色素変性、肥満、耐糖能異常、脂質代謝異常などを伴うAlsorom症候群(症候性網膜色素変性の1つ)の兄弟例に対して、ALMS1遺伝子に新規変異を特定した。その遺伝学的および臨床的特徴に論文分発表した。本邦のAlsorom症候群で見つかった最初の報告となった。 2.EYS遺伝子は、常染色体劣性網膜色素変性の原因遺伝子である。日本人染色体劣性網膜色素変性の約20%の原因となる可能性が報告されていた。常染色体劣性錐体杆体ジストロフィの罹患者で、EYS遺伝子変異を同定し論文発表を行った。常染色体劣性錐体杆体ジストロフィでEYS変異が見つかった最初の報告となった。 網膜色素変性の重症型であるLeber先天盲に対して、次世代シークエンサを用い、網羅的遺伝子解析を行った。その結果、2家系で、RPE65遺伝子変異を特定した。現在、連鎖・共分離解析を計画している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに、網膜色素変性およびその類縁疾患の約20家系で、遺伝子変異の特定に成功している。今後も網膜色素変性、錐体杆体ジストロフィ、Leber先天盲に対して、候補遺伝子のアプローチによる方法で本邦で特徴的な遺伝子変異を特定していきたい。この方法で特定できない場合、次世代シークエンサを用い、網羅的遺伝子解析を行い、候補遺伝子を絞り、連鎖・共分離解析とともに原因遺伝子を特定していく予定である。日本人に特徴的な原因を見つけ出し、病態を解明していきたい。本研究の延長線上に、遺伝子治療や再生医療の進歩があると信じている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究消耗品の使用が予想より少なかったため。研究実験が予想より少ない実験で研究成果がでたため。 今後も、これまで以上に研究消耗品やその他の品目を必要とする。
|
Research Products
(4 results)