2014 Fiscal Year Research-status Report
視神経再生過程におけるクロマチンダイナミクス解析と緑内障治療への応用
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25462753
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
郡山 恵樹 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (70397199)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中枢神経再生 / 視神経 / 神経節細胞 / ヒストンアセチル化 / クロマチンリモデリング / レチノイン酸受容体 / 緑内障 / 生存 |
Outline of Annual Research Achievements |
成熟期の哺乳類中枢神経は損傷後の再生が困難であるが、新生期(いわゆる臨界期に相当すると考えている)では比較的容易に再生が可能であることが分かってきた。これらの神経再生分子機構の理解は、中枢神経疾患の治療につながる。ヒストンの化学的修飾やそれらによるクロマチンリモデリングは再生関連分子の遺伝子発現ON/OFF気候とその後の神経再生決定可否機構の根幹をつかさどる可能性がある。本研究では成熟期と新生期のクロマチンリモデリングのパターン(アセチル化、メチル化)や神経再生能を比較し、新生期の神経再生機構を理解することで成熟期の神経再生を可能にすることを目的としている。また、そのターゲット分子の探索を行う。本研究は、新生期では成熟期に比べ視神経の再生能力が極めて高いことに着目し、新生期の再生メカニズムを精査し、成熟期ほ乳類に応用することで効率良い再生誘導機構を探索することを目的としている。再生に必要な網膜神経節細胞のヒストンの化学的修飾パターンの精査やその標的分子探索と、網膜神経節細胞の生存および軸索伸長との関連付けを含んだ機構解明は神経発生・再生のメカニズム解明の手がかりのみならず疾病治療のターゲットともなりうるため重要である。本研究により成長時期特異的な遺伝子発現機構の根本的な相違をターゲットとして、研究を行うことでほ乳類神経再生への新たな哲学を打ち出し、ほ乳類視神経再生分野をリードしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的は、再生程度が異なる新生期と成熟期、および成熟期の視神経損傷前後のヒストンの化学的修飾やクロマチンリモデリングパターンを調べ、神経再生が起こる条件とそのターゲット分子の探索を行うことにある。その候補分子のひとつとしてヒストンのアセチル化(ヒストンH3K9)とともにレチノイン酸受容体βの発現が誘導され再生に深く関与していることが絞り込めた。実際にヒストンのアセチル化を引き起こすトリコスタチンAによっても成熟期でレチノイン酸受容体βの誘導と神経再生が誘導されることが分かったことからおおむね順調に研究が遂行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
視神経再生が比較的容易な新生期においてヒストンのアセチル化とともにレチノイン酸受容体βの発現が誘導され再生能力が高まることが分かってきた。そこで視神経再生へのその発現の必要性、また発現に必要なヒストンの化学的調節を絞り込んでいく予定である。近未来的には化合物等でヒストンの化学的修飾を起こすとレチノイン酸受容体βの発現とそれに伴う視神経再生が起こるかどうか検討していきたい。
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Causes of Carryover |
2014年度4月より旧所属である金沢大学医学部から新所属機関の鈴鹿医療科学大学薬学部に移動したため、移動期間の実験器具梱包やサンプル廃棄などで研究予定に遅れが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスにおけるヒストンの強制的アセチル化によるレチノイン酸受容体の発現上昇よ視神経の再生を関連付けるため、ウェスタンブロット、免疫染色、視神経再生評価を行うための消耗品に使用する。
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Research Products
(13 results)