2013 Fiscal Year Research-status Report
ケロイド、肥厚性瘢痕における血球由来間葉系前駆細胞の分化発現異常の解析
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25462804
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大西 清 東邦大学, 医学部, 教授 (30194228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪股 直美 東邦大学, 医学部, シニア・レジデント (10439937)
今泉 りさ 東邦大学, 医学部, 准修練医 (20453847)
岡田 恵美 東邦大学, 医学部, 准教授 (50318242)
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 教授 (60202511)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / Fibrocyte / bFGF / 血管内皮前駆細胞 |
Research Abstract |
【目的】骨髄血球由来間葉系前駆細胞(Fibrocyte)は線維芽細胞に分化し組織修復に関与すると考えられる。これまでFibrocyteの細小動静脈特異的発現性を明らかにし、血管新生と同細胞増生との密接な関係が示唆された。そこで、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(Basic fibroblast growth factor:bFGF)投与による人為的な血管増生させた修復組織における、新生血管とFibrocyteの分化誘導能との関係を比較検討した。 【材料と方法】ラット背部に潰瘍作成し、bFGF(10μg/cm2)投与群とコントロールPBS投与群を作成した。投与後2, 4, 6, 7, 14, 21日目の全層性潰瘍部を採取し組織標本を作製した。CD34, Pro-collagenIを用いた二重染色から潰瘍部のFibrocyteを同定し、その発現頻度を経時的に解析した。 【結果と考察】CD34/Pro-collagenI陽性Fibrocyteは血管内皮様配列を示し、bFGF投与群で有意な発現増加を認め、特に投与後6,7日目で急激に増加した。同時にbFGFによる血管新生作用も確認されたので、同サイトカインによる血管増生作用を介するFibrocyte発現誘導能が示唆された。さらにbFGF投与群においてCD34とFlk-1(Fatal liver kinase 1)との二重染色から血管内皮前駆細胞を同定し、Fibrocyteと同細胞の異同を比較検討した。CD34/Flk-1陽性血管内皮前駆細胞は、CD34/Pro-collagenI陽性Fibrocyteとの発現性に類似性が認められた。したがって血管内皮前駆細胞による血管新生機構の一部にFibrocyte分化誘導の関与の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット正常皮膚修復過程におけるFibrocyte発現解析の実験系を確立した。またbFGF投与による修復過程におけるFibrocyte発現解析の実験系を確立した。これによりin vitroで各創傷治癒過程を経時的に観察できるようになり、bFGF投与による血管増生作用を介するFibrocyte発現誘導能が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
bFGFによる皮膚修復過程では、血管内皮前駆細胞を介したFibrocyteによる血管新生誘導能の可能性が示唆された。この仮説をさらに実証するため、今後はbFGF投与実験系における多数のマーカー発現解析からFibrocyteと血管内皮前駆細胞の異同をさらに詳細に検討する。さらに血管内皮細胞増殖因子であるVEGF投与実験との比較により、bFGFの特異性についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新生血管におけるFibrocyte分化誘導機構をヒト組織で解析する予定だったが、ヒト同一個体における経時的解析が困難なことが判明し、計画を変更し今年度から動物実験での解析に着手した。したがって当初予定の多数の抗体を用いたヒトFibrocyteの発現様式の多角的検討は中止し、その必要研究経費を削減することができ、これを次年度に繰り越した。これにより今年度から新たに立ち上げた動物実験で得られた検体で当初予定のFibrocyte解析を実施する予定である。 血管内皮前駆細胞のマーカーであるCD34,CD31,CD133,Flk-1の多重染色により血管内皮前駆細胞を同定し、Fibrocyteと血管内皮前駆細胞の異動をさらに詳細に検討する。さらに血管内皮細胞増殖因子であるVEGF投与実験を実施し、bFGFの特異性について比較検討する。これらの実験の試薬などの物品購入に使用する予定である。
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