2014 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原細菌歯性感染による非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)病態増悪機構の解明
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25462855
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮内 睦美 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (50169265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古庄 寿子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (00634461)
高田 隆 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (10154783)
犬伏 俊博 広島大学, その他の研究科, 助教 (30550941) [Withdrawn]
兵庫 秀幸 広島大学, 大学病院, 病院助教 (40397930)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯性感染 / 全身疾患 / NASH / 歯周病 / 肝線維化 / 肝癌 / porphyromonas gingivalis |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はPorphyromonas gingivalis (P.g.) 感染が肝細胞の増殖・生存・機能に及ぼす影響を明らかにした.正常肝細胞とパルミチン酸で処理した脂肪化肝細胞のサイトカイン発現に及ぼすP.g.感染の影響について検討したところ,P.g.感染が肝細胞,特に脂肪化肝細胞におけるTNF-α,IL-1β,IL-6およびMCP-1のmRNA発現を上昇させていた.P.g.を感染させ,細胞増殖率を非感染肝細胞と比較検討した.興味深いことに感染肝細胞では,細胞増殖能がMOI依存的に有意に上昇した.NASHと同様のメカニズムでアポトーシスを誘導するドキソルビシン(Dox)誘導性アポトーシスに対するP.g.感染の影響について検討した.その結果,Caspase-3の活性化の抑制ならびに抗アポトーシスタンパクであるBcl-2の発現上昇を介して,P.g.感染がDoxの誘導するアポトーシスを抑制することが明らかとなった.よって,P.g.感染は肝細胞のサイトカイン産生を促し,線維化や炎症を促進する事でNASHの病態進行に関わるばかりでなく,P.g.感染肝細胞ではアポトーシスが抑制され,細胞増殖能が上昇するため,P.g.感染は,NASHを基盤とした肝癌の発生にも寄与する可能性が示唆された. 本学大学病院で組織学的に単純性脂肪肝/NASHと診断された患者,計304の肝生検材料におけるP.g.の局在を免疫組織学的に調べ臨床病理学的な所見とP.g.感染との関係を解析した.P.g.非感染216例,感染88例(-;142例,±;74例,+;64例,++;21例,+++;3例)で,陽性率は28.9%であった.P.g.感染例は, 血清線維化マーカーが高値で,肝線維化ステージの進行例が多いことから,肝臓でのP.g.感染は単純性脂肪肝/NASH 症例の線維化促進に関わる増悪因子であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はin vitroの解析でP.g. 感染が肝細胞の増殖・生存・機能に及ぼす影響を調べ,P.g.感染はサイトカイン産生を促し,線維化や炎症を促進するばかりでなく,アポトーシスが抑制や,細胞増殖能が上昇するため,肝細胞へのP.g.感染は,NASHを基盤とした肝癌の発生にも寄与する可能性があるという興味深い結果を得,学会発表を行った.免疫組織化学的手法の問題で,前年度進行の遅れていたヒトの肝生検を用いたP.g.の免疫組織化学的検討にも精力的に取り組み解析をまとめることができた.TLR2-Koマウスを用いた解析は現在進行中である. 順調に達成できていると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度である. In vitroではP.g.やP.g.-LPSが肝細胞の増殖,アポトーシスや脂質沈着などに及ぼす影響を明らかとしてきた.今年度はサイトカイン産生の促進した活性化肝細胞から過剰に産生されるサイトカインと線維化の効果細胞である肝筋線維芽細胞との相互作用について解明していく予定である.In vivoではTLR2-Ko,TLR2/TLR4-Koマウスモデルでの検討をTLR4-Koマウスと同様に進めていき,P.g.感染によるNASH病態進行メカニズムにおいて自然免疫の果たす役割の重要性についてまとめる.25年度,26年度の結果をまとめ論文作成発表予定である.
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Research Products
(8 results)