2015 Fiscal Year Research-status Report
島皮質における周期的同期化機構の解明とその機能的役割
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25462884
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 元 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10432452)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 島皮質 / 味覚野 / 自律機能 / オシレーション / GPR119 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アナンダミド存在下で引き起こされた味覚野における約5.5Hzの周期的活動が、その尾側に存在する自律機能関連領野へ伝播し同期化する神経機構の詳細をさらに解明するために、周期的同期化における、Gαsタンパク質共役型のGプロテインカップリングレセプターであるGPR119の関与について検討した。島皮質の水平断スライス標本において、アナンダミドによって引き起こされた周期的同期化は、GPR119のアゴニストであるAR23145の灌流投与により完全に消失した。一方、アナンダミドによって引き起こされた周期的同期化は、GPR119のアンタゴニストであるArvanilの灌流投与により消失せず、さらに、Arvanilとオレオイルエタノールアミドの灌流投与によっても消失しなかった。以上の結果から、島皮質の周期的同期化の発生にGPR119が強く関与していることが示唆された。また、味覚野の皮質全層をマイクロカットしたスライス標本では、味覚野における約5.5Hzの周期的活動が自律神経関連領野に伝播しなかったことから、アナンダミド存在下で引き起こされた味覚野における約5.5Hzの周期的活動が、その尾側に存在する自律機能関連領野へ伝播しGPR119を介して同期化する神経機構の存在を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、カプサイシンやアナンダミドによる島皮質内での味覚野と自律機能関連領野間の周期的同期化の神経機構について、in vitro、in vivo およびヒト被験者におけるfMRI実験を用いて検討することを目的としている。今年度までに in vitro 実験で得られた研究成果は投稿、査読を経て、現在、改訂段階に入っている。またヒトfMRI実験を用いた辛味成分の認知とそれに引き続く自律神経活動に関与に関する研究成果については、学術雑誌(Frontiers in Human Neuroscience)に今年度アクセプトされた。以上のことから、当初予定していた研究の目的はおおむね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、In vivoにおける慢性記録電極を設置した全動物標本を用いた実験を取り組み始める予定である。具体的には、アトロピン+ペントバルビタールで麻酔したラット或いは野生型/TRPV1欠損マウスを、側方へ60度傾斜させた脳定位固定装置に装着し、色素RH1691(Optical Imaging社製)を滴下し1時間浸透させ、口腔外へ引き出した舌にカプサイシン含有/非含有の味溶液を滴下し、島皮質の時空間的活動パターンと自律神経応答を同時に観察する。
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Causes of Carryover |
これまでの研究成果についての投稿論文の改定と、その追加実験に着手していたため、本年度予定していたin vivo実験の着手に遅滞が生じた。そのため、本年度の研究費の一部が次年度使用額として残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、in vivoでの慢性記録実験に着手する予定である。当該助成金は、in vivo実験の麻酔薬、膜電位感受性色素、記録電極等の消耗品の購入、学会発表のための旅費および論文投稿料に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)