2015 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼時の脳血流動態における三叉-自律神経系の役割とその関連脳領域の機能修飾機構
Project/Area Number |
25462896
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
石井 久淑 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (00275489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新岡 丈治 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (10382491)
佐藤 寿哉 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (30709241)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 咀嚼 / 三叉神経 / 副交感性血管拡張反応 / GABAA受容体 / 脳血流 / 脳虚血疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は咀嚼時の脳血流動態における三叉-自律神経系の役割とそれらの脳機能或いは脳虚血疾患との関連性を明確化することを目指しており、本年度(平成27年度)は三叉神経の感覚情報で生じる脳血流動態におけるGABA入力の影響について検討した。その結果、1)舌神経の求心性刺激はGABAA受容体遮断薬(ペンチレンテトラゾール)の投与時において脳血管拡張(血流増加)反応を誘発する及び2)この血管拡張反応は自律神経節遮断薬(ヘキサメソニウム)の投与でほぼ完全に消失し、ムスカリン受容体遮断薬(アトロピン)の投与で有意に抑制されることが明らかになった。したがって、三叉神経の感覚情報は1)脳血管の副交感神経性血管拡張反応に関与する、2)この血管拡張反応はコリン作動性及び非コリン作動性の神経線維を介する及び3)脳血管の副交感神経性血管拡張反応はGABAA受容体の活動に大きく影響されることが示唆された。 副交感神経性血管拡張反応に重要な脳幹の神経核(三叉神経脊髄路核や唾液核等)はGABAA受容体を豊富に発現しており、これら受容体の活性化には視床下部等の上位中枢からの入力が関与することが示唆されている。したがって、ストレスや精神活動状態に密接に関連する視床下部の活動状態とGABA入力系(特にGABAA受容体)の働きは咀嚼時の副交感神経性血管拡張反応による脳血流動態に関連しており、それらの機能的変化が脳血流・機能障害の発症機序や病態に関わる重要な因子の一つであると考えられる。 今後の脳血流調節における三叉―副交感神経性血管拡張反応の生理学的役割とそれらの機能修飾機構(特に視床下部)に関する分子基盤を含めた総合的な研究の展開が、咀嚼と脳血流動態との関係をより一層明確にするとともに、脳血流・機能障害の新たな予防と治療法の可能性を導くことができるのではないかと考えている。
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Research Products
(7 results)