2013 Fiscal Year Research-status Report
根管内細菌叢パンゲノムの特性評価に基づく新しい歯内治療ストラテジー
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25462945
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八巻 惠子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90182419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 拓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (10303132)
真柳 弦 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10451600)
島内 英俊 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70187425)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯内治療学 / 根管内細菌叢 / 16S ribosomal RNA / メタゲノム解析 / PCR |
Research Abstract |
根尖性歯周炎の原因が根管内の細菌感染であることは、確立した知見である。しかし、感染根管から検出される細菌は多種多様で、多くの場合、重複感染を呈している。歯周病におけるRed groupに該当するような「根尖歯周組織に対する病原性が特に強い菌」というものはまだ特定されておらず、感染根管内の病原因子は解明されていない。菌種、すなわちフローラ(細菌叢)中の優勢菌や共存共生する菌種の組み合わせばかりではなく、棲息する細菌の総量や、細菌の集合体であるフローラそのものが病原性を発揮している可能性もある。本研究ではメタゲノム解析を通じ感染根管をパンゲノムとして捉え、その構造や機能特性を解明し、新しい歯内治療ストラテジーに応用することを目的としている。 今年度は、東北大学病院を受診した根尖性歯周炎を有する患者5名から、インフォームドコンセントを得た上で、感染根管から象牙質試料を採取しメタゲノム解析を実施した。試料の採取は各症例ともに3回、すなわち根管治療前、根管の拡大形成後、根管貼薬による消毒が奏功し根管充填する直前、に実施した。それぞれの治療ステージにおいて、根管壁を削去した手用ファイルの刃部を滅菌ニッパーで切断、滅菌チューブに投入し生理食塩水を加え、試料とした。試料中の象牙質削片を分散均一化後、メタゲノム専用のDNA抽出を行い、さらに16S rRNA遺伝子を標的としたメタゲノム専用のプライマーを用いてPCR増幅を行った。続いて454 Genome Sequencer FLX system(Roche)によってpyrosequencingを行い、この手順でシークエンス・データが確実に得られることを確認した。現在、BLAST search解析によって菌種の同定、フローラ構成について多角的に検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、高速シークエンサーを用いたメタゲノム解析を通じて、感染根管内フローラの細菌構成の精密な解析、ならびに治療経過に伴うフローラの変遷をモニターできる可能性が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は臨床症例を増やしてBLAST search解析を進め、フローラ構成と臨床症状、治療ステージに伴うフローラ構成の変遷に着目し、根尖性歯周炎を惹起する病原因子の実体を追究していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
メタゲノム解析の外部委託料、試薬がともに高額である。一部臨床試料は外部委託する処理が年度内に終了しなかったため、次年度に持ち越すこととした。 メタゲノム解析の外部委託料、および試薬の購入代金に充当する予定である。
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Research Products
(6 results)