2014 Fiscal Year Research-status Report
HA高速噴射による除去加工と成膜加工を利用したインプラント周囲炎治療法の提案
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25462980
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤塚 亮 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10586514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
厨川 常元 東北大学, 工学研究科(研究員), 教授 (90170092)
依田 信裕 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20451601)
野地 美代子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (70431583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パウダージェットデポジション / ハイドロキシアパタイト / チタンインプラント / インターフェイス |
Outline of Annual Research Achievements |
パウダージェットデポジション(PJD)法とは,東北大学大学院歯学研究科の佐々木啓一,工学研究科の厨川常元らが開発した精密加工分野で広く用いられているアブレイシブジェット加工(除去加工)を発展させたもので,セラミックスパウダーの高速衝突付着現象を利用した金属基板上へのセラミックス成膜方法である.このPJD法を応用し,常温常圧下でHAパウダーをチタン上に高速で吹きつけ,接着材を介することなく直接ハイドロキシアパタイト(HA)膜が形成されることが明らかになった.今回提案するPJD法を応用したインプラント周囲炎治療では,チタン表面の除去加工: HAパウダーを用いたアブレーションによる確実な感染除去を行い,骨再結合のベースを整えること,チタン表面への付着加工:インプラントチタン表面にHA膜を成膜し,バイオインテグレーション(HAと骨が化学的にダイレクトに結合)を誘導,生体内再活性化をおこし,治癒を促進することを目的とする. 今年度はHA膜の噴射条件の検討を行った.HAパウダーは,コンプレッサーにより圧縮された空気と混合され,ノズルから噴射される.ガスのオンオフはパソコンで制御された高速電磁弁により行う.PJD装置では,デジタル的にパウダー供給量を制御することにより,パウダーの噴射を定量化できる.ハンドピース型PJD装置を用いて,噴射条件を検討した. その結果,HA膜はチタン基板表面に均一に成膜され,その性状は緊密であった。非接触型三次元測定機においても成膜状態は確認され、約70ミクロンの膜厚を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PJD法によるチタン表面へのHA膜の成膜が確立されたためである. 成膜処置にムラはなく,安定して行うことができる手法を確立できたため,今後はチタン試料表面への歯周病原性細菌付着を行い,汚染物質除去能の評価と生体内最活性化能の評価を行っていく.
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Strategy for Future Research Activity |
PJD法有効性の基礎的検討として,汚染物質除去能の評価と生体内再活性化能の評価を行っていく. 具体的には,汚染物質除去能の評価では①チタン試料表面への歯周病原性細菌付着:インプラント周囲炎の原因菌として代表的な歯周病原菌性細菌として,Actinobacillus actinomycetemcomitans (A.a)Y4株を使用し,好標準菌液を作製する.チタン試料を浸漬し,37℃,4時間培養後,付着を強固にするため12時間自然乾燥する.②PJD法による細菌の除染:HAパウダーの粒径,成膜時間を変動パラメータとし,チタン表面にHA成膜する.③除染能の評価:SEMによる表面観察,電子線マイクロアナライザー(EPMA)による元素濃度マッピング分析,クリスタルバイオレット染色法によるA.a菌残留付着量の測定を行う. 生体内再活性化能の評価では,①炎症環境下でのチタン試料表面への細胞培養:インプラント表面に上皮組織が侵入を想定したラット由来線維芽細胞株であるRat-1細胞の培養をチタン上で行い、リポポリサッカライド(LPS)を添加し炎症環境を模した状態で、さらに2週間の培養する.②PJD法による生体内再活性化処理:HAパウダーの粒径,成膜時間を変動パラメータとし,チタン表面にHA成膜する.③擬似体液(SBF)への浸漬:ISO規格として承認された組成のSBF(ISO/CD23317)を作製し,7日間浸漬する.④生体内再活性化能の評価:SEMによる表面および断面観察,X線回折装置(XRD)およびフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)による表面の構造解析を行う.
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Causes of Carryover |
HA成膜条件の選定が順調に進んだため,翌年度の計画に合わせて使用することとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
チタン試料,HAパウダー等の他に,標準菌液用試薬や擬似体液用試薬に使用していく.
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Research Products
(7 results)