2016 Fiscal Year Research-status Report
下顎癌術後の形態・機能変化の長期的実態調査および下顎偏位への非外科的治療法の確立
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25463018
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
横山 薫 (平野薫) 昭和大学, 歯学部, 講師 (00384355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 浩二 昭和大学, 歯学部, 教授 (40197140)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 頭頸部腫瘍 / 下顎偏位 / 下顎復位装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部腫瘍患者で治療後に下顎の偏位を認め、顎誘導・咬合回復を目的とした下顎復位装置を作製した症例に対し、本装置使用の実態調査を行った。 【対象】頭頸部腫瘍にて術後あるいは放射線治療後に下顎の偏位を認め、重合レジンにて作製した下顎復位装置を作製した症例25例(男性20名、女性5名)。 【方法】下顎復位装置の使用状況から3年以上使用を継続しているものを継続群、3年未満を中断群の2群に分け、①腫瘍原発巣、②上下の平均残存歯数、③上顎顎欠損の有無、④中断群の装置使用期間と中断理由について調査を行った。 【結果】継続群は17例、中断群は8例であった。①腫瘍原発巣は、継続群は下顎癌12例、舌癌2例、中咽頭癌2例、耳下腺癌1例であった。中断群は上顎癌2例、下顎癌6例であった。②平均残存歯数は、継続群:上顎13.2歯、下顎8.6歯、合計21.6歯であった。一方、中断群は上顎8.6歯、下顎8.4歯、合計17.1歯であった。③上顎顎欠損を伴った症例は、継続群では1例もなく、中断群では3例であった。④中断群の装置使用期間は1か月以内が3例、3か月以内が3例、1年以内が1例、2年以内が2例であった。中断理由は、多くが歯痛と歯の動揺であり、その他には歯の脱落による残存歯の減少、下顎偏位の悪化による装置使用困難、顎関節脱臼、下顎骨折などであった。なお、下顎骨折に関しては下顎の癌の再発が骨折の主な原因と考えられた。 【考察】下顎復位装置の使用状況は、原発巣による差はみられなかったが、上顎顎欠損を伴っている場合や上顎の残存歯数が少ない場合は中断率が高くなる傾向であった。中断理由の多くが歯痛や歯の動揺であったが、その原因は装置による歯牙の負担だけでなく、下顎の復位に伴い咬合が変化し、部分的に咬合力が集中する部位が生じたことが考えられる。今後、装置の材質や使用時の管理方法を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、下顎復位装置の有害事象の調査について行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
下顎復位装置の効果について調査を継続するとともに、有害事象を最小限とする方法(下顎復位装置の材質、下顎復位装置使用時の管理方法など)について検討していく。
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Causes of Carryover |
嚥下内視鏡検査画像と嚥下持産生音の同期システムが完成したが、計画よりも装置が安価に済んだため次期使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次期使用額を下顎復位装置の改良のために必要な材料費や技工費に振り分け、より良い装置の完成を目指す。
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Research Products
(3 results)