2013 Fiscal Year Research-status Report
焼結温度調節により細胞の活動を高める機能性炭酸アパタイト骨補填材の創製
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25463060
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
田辺 俊一郎 朝日大学, 歯学部, 准教授 (60227197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 豊 朝日大学, 歯学部, 名誉教授(Emeritus Professor) (40116067)
近藤 信夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 講師 (70513670)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炭酸アパタイト / 骨再生 / 生体親和性 / 多孔質体 / 焼成温度 |
Research Abstract |
初年度は、400℃、550℃、700℃と3種の焼成温度で焼成した炭酸含有アパタイト(CA)を用意し、CAの結晶性、炭酸含有量を解析した。その結果、焼成温度が高いほど結晶性が高くなり炭酸含有量が減少した。また予備加圧を行うことで結晶性が増すこと、炭酸の残存量が増加することが明らかとなった。 次に、これら3種のCAを破砕して顆粒状にし、整粒してコーティングした培養容器を作成してラット骨髄由来間質細胞、骨髄細胞(混合培養)、骨芽細胞を培養して細胞動態を検討した。比較対象として1100℃で焼成した水酸化アパタイト(HA)およびbeta-リン酸三カルシウム(b-TCP)とコーティングを行わない培養容器(NC)を用いた。その結果、CAはHAおよびb-TCPと比較してrBMSCの増殖を促進した。また、細胞増殖促進能は焼成温度が低いほど顕著であった。細胞接着ではCAは焼成温度に関わらずrBMSCの接着を阻害せず、良好な細胞接着性を示した。さらに、骨髄間質細胞の骨芽細胞への分化、および頭蓋冠由来骨芽細胞の分化について検討した。その結果、CAはHAおよびb-TCPと比較して、骨芽細胞分化を促進した。このCAの分化促進能は、ALP活性に関しては焼成温度が高いほど顕著であり、石灰化能は焼成温度が低いほど顕著であった。また、骨髄混合培養系では、CAは、HAおよびb-TCPと比較して、焼成温度に依らず破骨細胞様細胞への分化を促進した。 これらの結果は申請者らの合成したHA、b-TCPではなく、多孔質体の市販の材料を用いても同様の傾向であった。 以上から, CAは既存の骨補填材料であるHAおよびb-TCPと比較して, 細胞の接着性, 増殖, 石灰化, 骨芽細胞および破骨細胞様細胞への分化誘導能において優れた材料であることが示された。さらに、焼成温度を調節することでCAの長所を最適化できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画を順調に実施し、成果をまとめて第43回日本口腔インプラント学会にて報告した。そして現在までの成果を論文にまとめ投稿準備中である。研究は順調に進展しており、現在までの達成度は十分といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果をふまえ、CAの作用についてさらに解析を進めるために動物モデルを用いたCAの骨再生効果の検証を以下の通り行う予定である。 (1)ラットの大腿骨に欠損を作成して欠損部に多孔質体焼結CAを填入する群と比較対象としてHA(ネオボーン)、b-TCP(オスフェリオン)を填入する群、そして未処理のコントロール群を作成し欠損部の再生過程でどのような細胞が機能しているか、パラフィン包埋切片、凍結切片を作成して以下の組織化学的・免疫化学的解析を行う。 移植部の形態の検討としてHE染色を行い、形成された新生骨などを形態学的に比較検討する。次いで、CD105などの間葉系幹細胞マーカー、破骨細胞マーカー・カテプシンKの検出のための免疫染色を行う。また、骨芽細胞マーカー・オステオカルシン、血管内皮細胞マーカー・CD31の検出等も行う。さらに、酒石酸耐性酸性フォスファターゼ染色による破骨細胞の検出や、アルカリフォスファターゼ染色による骨芽細胞の検出(凍結切片)等を行い、機能している細胞を特定する。
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