2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25463061
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
松本 尚之 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (70199884)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 典也 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20228430)
馬場 俊輔 大阪歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (40275227)
岡田 正弘 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70416220)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 歯周組織再生 / 細胞遮断膜 / 表面構造 / 生体吸収性高分子 / ハイドロキシアパタイト / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究課題は、歯周組織再生のための次世代型細胞遮断膜の創出を目指し、エレクトロスピニング法による生体吸収性高分子メッシュの表面構造制御とその機能評価を行うものである。 平成25年度においては、まず、生体吸収性高分子としてポリ乳酸を用いたエレクトロスピニングを行う際の条件(溶媒の種類、環境の湿度、および、ポリ乳酸の分子量)について検討を行った。その結果、疎水性の高い溶媒を用いた場合、相対湿度が20から100%の範囲においてメッシュを構成するファイバー表面にナノからサブミクロンサイズの凹凸構造を付与できることを見出した。また、ポリ乳酸の分子量によっても表面凹凸のサイズが変化することを見出した。以上の結果から、有機溶剤の揮発に伴う凝結水滴が鋳型となって表面ナノ凹凸構造が形成し、その凝結水滴の安定化には高分子鎖末端のカルボキシル基の界面活性能が影響を与えていることが推測された。 次に、湿式法によって形態および粒子径を制御してアパタイトナノ粒子を調製した。この際、熱的・化学的安定性を向上させるための焼成条件(融着防止材量、および、焼成温度)について検討を行い、その分散性と化学組成に与える影響を明らかとした。また、アパタイトナノ結晶の分散液を調製し、上述したエレクトロスピニング法により製作したメッシュを同分散液中に浸漬することでアパタイトナノ結晶をコーティングすることに成功した。 以上のように、平成25年度の検討によって、アパタイトナノ結晶コーティング生体吸収性高分子メッシュのナノ構造の制御に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の検討においては、アパタイトナノ結晶コーティング生体吸収性高分子メッシュの表面ナノ構造を制御することを目的とした。「研究実績の概要」に記載したように、当初の目的通り、エレクトロスピニング法およびアパタイトナノ粒子作製法の諸条件を検討することで目的を達成したため、「(2)おおむね順調」と自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
各条件で製作した生体吸収性高分子メッシュの機械的特性を引張り強度と曲げ強度から物理学的特性評価をする。さらに、生理的環境下における分解挙動について、リン酸緩衝液中に浸漬した後の形態変化と重量変化から評価する。 各条件で製作した材料上で細胞の初期接着性、および、細胞機能の発現(増殖性、分化挙動)を評価する。対象とする細胞としては、最終的な細胞遮断膜への応用を見据えて、線維芽細胞および骨芽細胞を主に扱う予定である。得られた知見をもとに、ナノ構造体の物理的性質(表面凹凸構造、アパタイトナノ粒子の粒径・被覆率)と生物学的特性の関係を導き出し、細胞機能発現に係るナノ構造の一般法則について明らかにする。さらに、得られた結果を製造プロセスにフィードバックすることで表面ナノ構造の改善を行い、歯周組織再生のために最適な細胞遮断膜の開発達成を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後、生体吸収性高分子メッシュ作製費用が必要であることから、物品の購入を控えたため。 次年度の研究費は、生体吸収性高分子メッシュならびにアパタイトの製作、および、製作した材料の生物学的特性評価に係る消耗品費を中心とする。
|
Research Products
(1 results)