2014 Fiscal Year Research-status Report
側坐核のμ受容体を介したアセチルコリン神経活動制御機構
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25463100
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三枝 禎 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50277456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 琢也 日本大学, 歯学部, 助教 (10409104) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オピオイド受容体 / 側坐核 / ラット / 脳微小透析法 / 薬理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
内因性μ受容体agoinst候補物質のうち,endomorphin(EM)-1とは異なりEM-2は,ラットの側坐核への灌流投与によりopioid受容体を介さずドパミン(DA)神経を刺激することを我々は報告してきた(Saigusa et al., 2008他)。側坐核のアセチルコリン(Ach)神経にはμ受容体が発現しているので,このAch神経にEM類が及ぼす効果について解析している。これまでに側坐核のAch神経活動をEM-2はμ受容体を介して抑制することを確認した。当該年度はμ1とμ2両受容体antagonistのCTOPとμ1受容体antagonistのnaloxonazineを用い,側坐核のAch神経にEM類が示す効果についてμ受容体サブタイプの関与の面から検討した。比較のため側坐核のDA神経にEM-1が及ぼす効果も観察した。 In vivo脳微小透析法によりS-D系雄性ラット(体重約200 g)の側坐核の細胞外AchおよびDA量を15~20分毎に測定した。灌流液にAch分解酵素阻害薬のphysostigmine(50 nM)を添加した。EM類とCTOPは透析プローブから逆透析で側坐核に30分間灌流投与し,naloxonazineはEM類投与の24時間前に腹腔内投与した。EM類とCTOPの投与量は灌流液中の総量(nmol)で示した。 EM-1(6, 30 nmol)は,Achを用量依存的に約30~50%減少させた。EM-1(30 nmol)はDAを増加させた。CTOPはEM-1の誘発したAch減少とDA増加をいずれも抑制した。Naloxonazine(15 mg /kg)はEM-1誘発DA放出は抑制したが,EM類が惹起したAch放出減少には影響を及ぼさなかった。以上のことから,EM-1とEM-2はいずれもμ2受容体を介し側坐核のAch放出を減少させることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画の多少の変更はあったものの想定範囲内であり,当初予定していた実験から得た成果は2014年の6月22~26日にかけてカナダのバンクーバーで行われた国際神経精神薬理学会にて発表できた。当該学会では,側坐核のμ受容体が同部位のAch神経活動制御に果たす役割について報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2カ年の研究成果のさらなる発展を目指し,オピオイド受容体サブタイプのひとつであるδ受容体が側坐核のアセチルコリン神経活動制御に果たす役割について検討する。これまでのμ受容体に関する実験データをあわせ,側坐核のアセチルコリン神経活動制御機構をオピオイド受容体サブタイプの関与の面から解明に取り組むことを計画している。これらの研究成果を,2015年10月17~21日に米国イリノイ州シカゴで行われるNeuroscience 2015(Society for neuroscience)にて発表する予定である。 【役割分担】統括,神経化学・行動学・組織学実験の遂行:三枝禎(研究代表者),実験の遂行:青野悠里(研究協力者),木口友里(研究協力者),飯塚普子(研究協力者),野田一(研究協力者),渡邉由梨子(研究協力者),石川学(研究協力者),滝口旗一(研究協力者),関野麗子(研究協力者),内田琢也(研究協力者),高田耕司(研究協力者),研究の助言:J.L.Waddington(海外研究協力者)
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験が終了したため,85,456円を使用せずに残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越す85,456円は実験のための物品費として使用することを計画しており,実験動物,試薬,HPLC消耗品の購入に充てる。
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