2014 Fiscal Year Research-status Report
HBp17/FGFBP蛋白を標的とした口腔癌の分子標的診断・治療法の開発研究
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25463109
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新谷 智章 広島大学, 大学病院, 助教 (90403518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (00169153)
林堂 安貴 広島大学, 大学病院, 講師 (70243251)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FGF結合タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
活性型ビタミンD3(1α,25(OH)2D3)は骨代謝において重要な働きをしている。また、心臓病や癌の予防効果が報告されてきている。我々はこれまでに、無血清培養系で、1α,25(OH)2D3がNF-κBシグナル伝達経路を介し、口腔扁平上皮癌の増殖及び血管新生に関与するHBp17/FGFBP-1の発現を抑制することを報告してきた。本研究では、活性型ビタミンD3誘導体であるED-71の口腔扁平上皮癌細胞の抗腫瘍効果を検討した。 口腔扁平上皮癌細胞株として当研究室で樹立したNA細胞(HO-1-N-1)及び扁平上皮癌細胞株A431を用いた。ED-71(中外製薬より供与)の抗腫瘍効果を明らかにするため、NA細胞の無血清培養系での増殖に及ぼすED-71の影響を検討した。ED-71のIC50は0.4nMであり、1α,25(OH)2D3の100倍の抗腫瘍活性を示した。次に、マイクロアレイ解析を行った結果、ED-71(0.4nM)処理細胞では非処理の細胞に比べ、CYP24A1遺伝子の有意な発現上昇を認めた。蛍光免疫染色法とウエスタンブロット法においてもED-71によりCYP24A1の発現が誘導されていた。CYP24A1発現は濃度依存的に誘導され、VDRRNAiを導入したNA細胞では、CYP24A1遺伝子の発現は有意に抑制されていた。ヌードマウス背部皮下にA431細胞を移植し、ED-71(1μg/kg)を経口投与した結果、ED-71投与群の腫瘍増殖は抑制された。移植28日後の腫瘍におけるCYP24A1の発現を免疫組織化学的に検討した結果、ED-71投与群ではCYP24A1の発現を認めた。 ED-71はCYP24A1を誘導するものの基質として代謝を受けにくいため、低濃度で強い抗腫瘍活性を示すことが明らかとなり、ED-71を用いた扁平上皮癌治療の有用性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヌードマウスにおける抗腫瘍効果を検討したが、副作用による体重減少がみられたため、至適濃度を決めるのに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスから摘出した腫瘍組織に対し、血管新生関連マーカーの免疫組織染色を行う。
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Causes of Carryover |
マウスの実験が、投与薬剤の至適濃度を決めるために、時間を要したため、実験が進まず、予定していたマウスの購入が行えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヌードマウスの購入に、予算をあてる。
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