2015 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者における機械的刺激に対する微小血管応答性の変化とその要因
Project/Area Number |
25463165
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯田 順一郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90151232)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 矯正歯科治療 / 微小血管 / 器械的刺激 / 糖尿病 / 歯の移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験動物として6週齢雄性シリアンゴールデンハムスターを用いた。糖尿病誘発のためにstreptozotocin(以下STZ)を ( 50 mg/kg)腹腔内投与する方法を取った。間歇的な機械的刺激として荷重時間と非荷重時間を1秒と9秒で繰り返す条件をT10群、1秒と19秒で繰り返す条件をT20群、また同様にT30群、T40群、T60群を設定した。荷重付与装置付きのdorsal skinfold chamberを装着し荷重を付与した。対象としてSTZを投与しない群(健常群)を設け、T10, T20, T30および無加重の4群で、下記の微小血管の反応を比較した。糖尿病群は無荷重群とT20, T40, T60の計4群に分け、各群の微小血管変化を7日間、実体顕微鏡および蛍光顕微鏡像を記録し、毛細血管径変化率、出血傾向および血管消失について変化を計測した。その結果、健常群の観察においては、T10群では出血や,血管構造の破壊を認めたが、他の条件では全観察時点において血流は維持されていた. 毛細血管径はT10 群, T20 群が他群と比較して有意に増大したが, T30 群では全日, 対照群との差を認めなかった.すなわち健常群においては、正常な骨吸収に結びつく間歇的刺激としてはT20の条件が適切な刺激であるとの結論を得た。一方、糖尿病群においては、毛細血管径は、T20群とT40群において有意に毛細血管径が増大していたが、T60群は有意な変化を認めなかった。出血傾向については、T20群が他群に比べ出血傾向、毛細血管消失率ともに有意に高かった。これらより、糖尿病群においては正常な骨吸収に結びつく間歇的刺激としてはT40の条件が適切な刺激であるとの結論を得た。以上の結果より、糖尿病患者に対する間歇的な矯正力としては、刺激の間隔をより長く設定する必要があることが明らかとなった。
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