2013 Fiscal Year Research-status Report
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25463174
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
大島 邦子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)
齊藤 陽子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30404487)
澤味 規 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90710442)
岩崎 智憲 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10264433)
山崎 要一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30200645)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 捕食動作 / 顎口腔機能 / 小児 / 成人比較 |
Research Abstract |
哺乳から始まる摂食行動は、離乳、手づかみ食べを経て、自ら食具を用いる咀嚼へと習熟していく。しかし、乳幼児におけるこれらの報告は、症例提示や経験則の域を出ていない。一方、食育の啓発により、保護者や保育の現場における食物の与え方や食べ方、そして歯列咬合への関心の高まりは著しく、曖昧模糊とした小児の口腔機能の発達過程に関するエビデンスの提供は急務である。中でも、食物を口腔内に取り込む捕食動作は、離乳食開始時期から学習により獲得される複雑な協調運動であるとともに、その動作の終了が咀嚼-嚥下のトリガーとなることから極めて興味深い。そこで本研究の目的は、捕食動作の発達過程を明らかにすることである。特にこの動作に関わる解剖学的要素(頭部、下顎、口唇、手指、体躯等)の協調性に焦点を当てる。 本研究においては、自然な摂食を計測することが不可欠であるため、モーションキャプチャーシステムを用いることとした。このシステムの導入前に、予定していたシステムより精度を遥かに凌ぐシステム(VICON)が学部により導入されたため、本研究の一部はこれを用いることとした。予備的実験として、低年齢の小児の捕食・摂食行動を計測したところ、姿勢の保持が困難であることが明らかとなった。また、VICONによる計測は高精度であるがゆえに、解析には時間を要する一面もあり、また解剖学的要素の複雑な協調運動を計測するために、比較的容易な摂食行動から検討することが計測する必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において最も大切点は、モーションキャプチャーシステムにおいて安定的に小児の捕食動作(咀嚼運動・動作を含む)を計測する点にある。前述の通り、予備的実験として、低年齢の小児の捕食・摂食行動を計測したところ、姿勢の保持が困難であることが明らかとなったが、これについては、マーカーの設定および動作記録用カメラのセッティング、および捕食被験食品の選択を一部変更した。 次に、咀嚼運動の解析につては、これまで研究代表者らが、咀嚼サイクルの定義に用いて来た下顎運動パラメータは、主に下顎切歯点における垂直的移動距離であったが、モーションキャプチャーでは軟組織上に貼付したマーカー(あるいは軟組織上の解剖学的基準点)を基準とすることから、必ずしも垂直的移動距離では定義できないことが明らかとなり、次年度ではあらたなサイクルの定義が必要である。 協調運動に必要な動作解析については、手の運動の開始、開口のタイミングなどについては、一定のデータを得ることができ、定量的データの定性化に向けて、Multilevel model analysisやfactor analysis へのデータ化に目途が見えてきた。この協調運動の解析では、時系列的な協調が想定していたよりも早期に始動することが明らかとなってきた。例えば、手が食品を保持するタイミングよりも前から頭部はそれを口腔内に取り入れる準備的な動作を始めており、そのタイミングが小児における成熟度の指標になる可能性を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
メインの運動・動作解析装置に変更は生じたものの、研究課題はおおむね順調に行われている。これまでの研究の進捗状況から、乳幼児の捕食動作の定量的解析は、解剖学的計測点と考えられる多くの点の解析を想定していたものの、当然ではあるが、計測を配慮しての捕食・摂食動作の計測にはならないことから、最低限必要な部位の計測、あるいは必ずしも連続データでなくても、一連の計測の中からデータの抽出が必要である。今後は、初期に作成した研究計画にあるような被験者の計測を進めるとともに、発達検査についても検討を加えていく必要がある。 研究結果については、本年度は海外での発表および英語論文作成を行う所存である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述の通り、計測機器の変更(PV Studio: PVS3D-N-1からVICON)の変更に伴い、設備備品費の購入が一部不要になった。 計測機器の変更により、計測時に用いるマーカーの新規購入(マーカー単価の上昇)と、新しいシステム(計測機器全体)の精度検定および、その特性を把握するため、比較的計測が容易な成人を対象とした捕食に関する予備研究を計画している。そのための、消耗品費、人件費・謝金におよび被験者謝礼として、繰り越した額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)