2014 Fiscal Year Research-status Report
早老症をモデルとした老化制御機構の解明に関する小児歯科的アプローチ
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25463187
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山座 治義 九州大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (30336151)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小児歯科学 / ヒト乳歯由来幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、脱落乳歯由来幹細胞(stem cells from human exfoliated deciduous teeth; SHED)の抗酸化ストレス作用および多分化能による抗老化作用の可能性を検索するとともに、老化制御機構の解明を目的とする。早期に老化現象が出現する早老症モデルマウスにSHEDやSHEDから分化誘導したインスリン産生β細胞を移植して、モデルマウスにける各臓器の活性酸素種の産生抑制や、寿命延長機構に重要な関連を示すインスリンシグナル伝達系を解析するとともに、老化制御に関与する遺伝子やシグナル伝達系の同定と解析を行う。以上のことから、本研究課題では小児歯科的アプローチによる老化現象の解明に挑む。 SHEDの全身投与による老化制御機構への影響を検索するために、早老症モデルマウスであるBmal1ノックアウトマウスヘテロ接合体の雌雄ペアをJackson Laboratoryより購 入した。Bmal1ノックアウトマウスはホモ接合体では不妊であることから、ヘテロ接合体での系統維持を行っている。また、野生型、ヘテロ接合体、ホモ接合体は、新生マウスの尾よりDNAを抽出後、特異的プライマーでのPCR法にてジェノタイピングを行っている。現在は寿命集団を作成して寿命曲線を作成している。 また、本研究課題と関連した実験として、野生型マウスにSHEDを静脈内に投与して寿命への影響を観察している。途中経過として、SHED投与群では非投与群に比べて、寿命延長の傾向が見られた。さらに、老化関連疾患である骨粗鬆症について、そのモデルマウスへのSHED投与により、骨密度の増加が認められた。以上の実験については、詳細な解析を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
早老症モデルマウスの寿命集団とともに、野生型マウスへのSHED投与後の寿命曲線を作成中であり、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
SEHD投与した早老症モデルマウスの寿命集団について、以下の検索を継続していく。①各臓器におけるROS産生:肝臓、骨格筋、脂肪細胞、脾臓、心臓を採取し、通法に従い各臓器でのROS産生を測定する。②組織学的検索:採取した各臓器の組織切片を作成し、HE染色や特殊染色(PAS染色:多糖体の検索、マッソントリクローム染色:組織線維化の検索、その他)、免疫組織化学的検索(細胞死の検索、血管新生の検索など)を行い、各臓器の組織学的変化を解析する。③寿命集団の解析:SHEDを移植した雄モデルマウスのホモ接合体および野生型の体重や摂食量、各臓器の重量、血液データ(血糖値やインスリン、脂質、ASTやALT)、尿タンパク質量を経時的に測定し、SHED移植による肝機能や腎機能、代謝機能の変化を検索する。また、移植したモデルマウスの飼育を継続して、SHED移植したモデルマウスの寿命を解析する。 また、SHEDを移植した雄ホモ接合体と雌野生型マウスとの交配、SHEDを移植した雌ホモ接合体と雄野生型マウスとの交配を行い、生殖能力の回復を確認する。
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Causes of Carryover |
試薬注文時に年度内の納入ができないことが判明したことから、次年度のへの繰越金が少額生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の助成金と合わせて、物品を購入する予定である。
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