2015 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛イオンの特異的口腔内細菌生育抑制に基づく口臭抑制剤の開発
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25463264
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中野 善夫 日本大学, 歯学部, 准教授 (80253459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 奈央 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (60372885)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 菌叢解析 / 口臭 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までに、塩化亜鉛水溶液による口腔内細菌叢への影響について、10日間程度の短期間の変化と4週間程度の長期間の変化を試料を取得し、その解析を進めることができた。その結果から亜鉛洗口によって口腔内細菌叢が影響を受け、生息数が減少する種を見出すことができた。本年度は、長期間亜鉛イオンにさらされることにより、一度は減少した菌種も抵抗性を有するようになる可能性を検証することと、一度亜鉛の影響を受けた口腔内細菌叢は亜鉛水溶液洗口を停止するとすぐにもとの状態に戻るのかどうかの二点を明らかにすべく、8週間に渡って亜鉛水溶液洗口を続けた群と4週間後に亜鉛水溶液洗口を停止して塩化ナトリウム水溶液で洗口を行った群について、唾液と舌苔の試料を採取して、その細菌叢を16S rRNA配列解析にて行った。 その結果、4週間後に、Rothia属、Prevotella属、Actinomyces属細菌の割合が増加し、一方、Haemophilus属、Neisseria属、Gemella属、Corynebacterium属、Lautropia属、Porphyromonas属、Leptotrichia属、Alloprevotella属、Fusobacterium属細菌が減少した。8週間まで亜鉛洗口を続けることで、このうちおよそ半数の細菌の変化がもとに戻ったので、長期間の亜鉛イオン暴露により耐性を獲得することが強く示唆された。また、亜鉛イオンからナトリウムイオンへの変更後4週間で多くの細菌叢が元の細菌叢に近い状態に戻り、その影響を長期に渡り維持するのは難しいことが示唆された。 また、個々の種の比較だけでなく、菌叢全体の比較を行なうために、菌叢同士の距離を求めて類似性を比較する方法が必要であると考え、5塩基連続配列の出現頻度による菌種や菌叢を評価する方法を検討した。その結果を第38回日本分子生物学会で、「n-gram塩基出現頻度に基づく微生物系統樹解析」として発表した。
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