2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の予想される死における看護職の看取り教育プログラム開発
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25463285
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川原 礼子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (40272075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 明子 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 教授 (20167430)
齋藤 美華 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20305345)
坂川 奈央 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (80635566)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護職 / 看取り / 死亡確認 / 呼吸停止確認 / 認知症グループホーム / ホスピス / 看取り教育 |
Research Abstract |
我が国では、高齢者の看取りが急増し、近未来的には医師が臨終場面に立ち会い切れない状況が到来するであろうと危惧されている。一方、看護師による看取りについては、予想されている死については、その局面におけるよりよい役割が可能と考えられながら、法律的、制度的課題が大きい現状にある。 そこで本研究は、スウエーデンの高齢者ケアの場で行われている看護職による看取りの状況、とりわけ「予想される死」における死亡確認の現状や教育的背景を看護職に聞き取り調査し、さらに日本の高齢者終末期ケアにおける死亡の確認状況を医師および看護職に調査して両国を対比させながら、よりよい看取りの実施方法につなげる教育プログラムの開発を目指すのものである。 平成25年度は第一段階調査として、研究代表者・分担者によるスエーデンのホスピス病棟、グループホーム等の看護職への看取り時の死亡確認に関するインタビューを行った。 インタビュー内容は入所者数や職員の数やシフト体制などの構造的側面(入所者や職員の数、シフト体制、年間の死亡確認数、医師との連携体制等)、死亡確認における観察点、および死亡確認に関する教育体制などであった。インタビュー結果として、スウエーデンにおいては、看護教育課程においては、学生の実習を含めて、臨死や死自体のとらえ方の教育が充実しており、看取りの場面における死の徴候アセスメントも決めこまかいものであった。今後はインタビュー結果を分析して、日本におけるよりよい看取りシステムへの研究と応用につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年7-8月に研究代表者および分担者にて打ち合わせを行い、また質問紙など関係する資料に関するの英文作業を行って、スウエーデンにおける調査の準備を行った。また、スウエーデンにおける調査の協力態勢について、電子メールや書簡で確認した。その結果、南部のマルメ市のホスピスケアや高齢者ケア施設の関係者にインタビューの承諾を得ることができた。 H25年9月15日スウエーデンのマルメ市に到着し、9月19日まで5日間滞在して、スウエーデン人の通訳・コ-デイネーターである、Harriet Person氏の同行のもとに、ホスピス勤務の看護職および地域の保健師職にインタビュー実施できた。現在、その結果を分析中であるが、H25年度の研究目的に関しては、概ね順調に達している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は 第二段階調査として、我が国の介護老人施設・グループホーム看護および訪問看護における呼吸停止確認に関する質問紙調査を行う。 対象は国の介護老人施設(介護老人保健施設および福祉施設)およびグループホームを無作為にそれぞれ100抽出し、勤務する看護職に質問紙調査の依頼をし、同意を得たものを対象とする。また、日本看護協会に現在登録されて公表されている全国333人の訪問看護認定看護師に質問紙調査の協力の依頼をし、同意を得たものとする。方法は質問紙による調査であり、対象の看護職に対してはフェイスシ-ト{(年齢、臨床歴、訪問歴、学歴、研修の有無およびその内容)と、スウエーデンにおけるインタビュー内容に準じ、また、その結果を参考にして問題点を抽出し、構造的側面や呼吸停止アセスメント方法や注意点、および事例などを問う。 平成27年度については、第三段階のスウエーデンおよび日本における看取り関係者によるパネルデイスカッションを予定している。第一段階および第二段階の調査で得られた結果から、看護職による呼吸停止確認の現状と課題およびより良い看取り方法に繋げる教育プログラム開発について、以下のように両国の関係者が集まったパネルデイスカッションで討議する。パネリストは、①ウエーデンの調査に協力が得られた看護職の管理的立場にあるもの1名、②全国の介護老人施設看護職の管理的立場にあるもの代表1名、③全国のグループホーム看護職の代表1名、④全国の認定訪問看護師で訪問看護ステーションの所長代表1名、⑤看護系大学において高齢者終末期ケアを専門としている教授代表1名、⑥高齢者終末期ケアに携わっている往診医1名である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インタビューの際に用いるICレコーダーと、パネルディスカッションのためのプロジェクターに充てる予定としていたが、過去に使用していたICレコーダが使用可能であったことと、インタビュー施設にプロジェクターが設置されていたことにより、購入しなかったため。 平成26年度請求額とあわせ、現在分析しているデータや、文献等を翻訳する際の翻訳ソフトを購入する予定である。
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