2014 Fiscal Year Research-status Report
災害初期から中長期における被災者および支援者の継続的な心理的支援体制の構築
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25463293
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
酒井 明子 福井大学, 医学部, 教授 (30303366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繁田 里美 福井大学, 医学部, 准教授 (20446165)
月田 佳寿美 福井大学, 医学部, 准教授 (50303368)
麻生 佳愛 福井大学, 医学部, 講師 (80362036)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 災害 / 復興期 / 被災者 / 心理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災発生直後の被害の程度や災害発生時に抱いた無力感の継続や災害発生後の長期に渡る生活上のストレスが人々に及ぼす心理的変化を明らかにし、地域住民と協働し、より実際的で有効な心理的支援の在り方を明らかにすることを目的としている。26年度は、発生4年後の心理変化と要因の調査を実施した。対象者は、東日本大震災で被災した被災者のうち、研究参加に協力の得られた高齢者10名程度とした。調査で得られた結果は、発災1年後、2年後、3年後の調査結果と比較し、災害発生初期から復興期における被災者の中長期的な心理的変化の要因およびニーズを把握し、心理変化の特徴パターンを分析し、変化の時期ごとのニーズと支援の実際との関連を分析した。東日本大震災発生直後から4年目の被災者の心理的変化を調査した結果、災害後の時間的経過に伴う心理の回復過程に変化がみられた。心理的変化の特徴を捉え、適切な時期に予測的に介入することの必要性、生活ストレス、社会的ストレスなどの多くの要因に対する生活支援への必要性および地域住民との協働による被災者の自立に向けた心理的介入の必要性が示唆された。また、災害初動期から復旧復興期における被災者の心理を時間(存在の時間と意識の時間)に焦点をあてて記述し、災害支援における心理的意味と内容を明らかにした。災害時の状況を客観的な時間と主観的な時間を前提とした時間論から捉え、物理学的時間、心理学的時間、哲学的時間、生物学的時間など時間に関する諸問題について様々な角度から検討し、被災地および被災者の自立に向けて何が必要な支援か、地域力がどのように活用できるか、被災地および被災者の自立を考慮し、地域力を活用した実際的で効果的な心理教育の必要性が見出されたため、研究の成果を世界災害看護学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災災害発生4年後の被災者の心理的変化および心理変化に影響する要因を検討し、災害時の状況を客観的な時間と主観的な時間を前提とした時間論から捉え、被災地および被災者の自立に向けて何が必要な支援か、地域力がどのように活用できるか、被災地および被災者の自立を考慮し、地域力を活用した実際的で効果的な心理教育を検討するために基礎的資料を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は、東日本大震災発生後の心理的変化の調査を継続し、1年目・2年目・3年目・4年目を通して、心理変化の特徴的パターンを分析し、変化の時期毎にニーズと支援の実際との関連を分析する。仮設住宅から公営住宅など生活の場が変化する時期であるため、被災地および被災者の自立を考慮し、地域力を活用した実際的で効果的な心理教育を地域の人々との協働で企画・実施評価し、その効果を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究分担者の1名が、年度途中に休職し、急遽、被災地仮設住宅での調査ができなくなったため、交通費および雑費を次年度に繰り越したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施できなかった仮設住宅被災地調査を27年度に実施する予定であるため、交通費および雑費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)