2015 Fiscal Year Annual Research Report
災害初期から中長期における被災者および支援者の継続的な心理的支援体制の構築
Project/Area Number |
25463293
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
酒井 明子 福井大学, 医学部, 教授 (30303366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繁田 里美 福井大学, 医学部, 准教授 (20446165)
月田 佳寿美 福井大学, 医学部, 准教授 (50303368)
麻生 佳愛 福井大学, 医学部, 講師 (80362036) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 災害 / 復興期 / 被災者 / 心理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災発生直後の被害の程度や災害発生時に抱いた無力感の継続や災害発生後の長期に渡る生活上のストレスが人々に及ぼす心理的変化を明らかにし、地域住民と協働し、より実際的で有効な心理的支援の在り方を明らかにすることを目的としている。27年度は、災害発生5年後の心理変化と要因の調査を実施した。対象者は、東日本大震災で被災した被災者のうち、研究参加に協力の得られた高齢者10名程度とした。調査で得られた結果は、発災1年後、2年後、3年後、4年後の調査結果と比較し、災害発生初期から復興期における被災者の中長期的な心理的変化の要因およびニーズを把握し、心理変化の特徴パターンを分析し、変化の時期ごとのニーズと支援の実際との関連を分析した。東日本大震災発生直後から5年目の被災者の心理的変化を調査した結果、災害後の時間的経過に伴う心理の回復過程に変化がみられた。災害発生後の心理的変化は、時間経過と共に安定に向かうパターンと5年目に向かってストレスがピークに向かうパターンなど、多様であった。時間経過と共に強い影響をうけるのは、自宅再建と家族関係であった。 このことから、心理的変化の特徴を捉え、適切な時期に予測的に介入することの必要性、生活ストレス、社会的ストレスなどの多くの要因に対する生活支援への必要性および地域住民との協働による被災者の自立に向けた心理的介入の必要性が示唆された。また、本調査は、時間経過に沿った語りであるが、継続的に想起するイベントと忘却に向かうイベントがあるため、時間経過に伴う諸問題について様々な角度から検討し、被災地および被災者の自立に向けて何が必要な支援か、地域力がどのように活用できるか、被災地および被災者の自立を考慮し、地域力を活用した実際的で効果的な心理教育の必要性が見出された。本研究には、災害看護専門看護師課程の大学院生が調査協力者として参加した。
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