2013 Fiscal Year Research-status Report
質の高い患者ケアをめざす看護師‐看護補助者協働システム確立のための基礎的研究
Project/Area Number |
25463329
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中岡 亜希子 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (60353041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 幸 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (40379459)
冨澤 理恵 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (20584551)
三谷 理恵 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (70437440)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 看護補助者 / 協働 / 看護師 / 業務分担 / 参加観察 |
Research Abstract |
本研究の目的は高度化する医療環境において、患者にとってより質の高いケアを保証するために、看護師と看護補助者の協働の現状を明らかにし、その協働システムの構築のための基礎的調査を実施することである。平成25年度は、看護師と看護補助者の協働の現状を把握するために以下を実施した。 1.急性期病院における看護師と看護補助者の協働や、看護師や看護補助者の互いのケアへの認識に関する文献検討を実施した。 2.急性期病院における看護師と看護補助者の協働の実態を明らかにするために、約1000床の大学病院における2病棟において看護補助者に対する参加観察を実施した。参加観察には病棟スタッフ4/5以上の同意を得て、1病棟において1名の看護補助者、計2名の協力を得た。現在、参加観察で得られたフィールドノーツの分析を進めている。現在までに、看護補助者が看護師との業務分担の中で、その境界の判断に難しさを感じていることが明らかになった。 3.急性期病院における看護補助者の雇用の実態を明らかにするために、上記の協力病院において、看護管理者1名にインタビューを実施した。また、各協力病棟における看護師と看護補助者の業務整理を担当している病棟スタッフ計4名にインタビューを実施した。インタビュー内容は逐語録を起こし、現在分析を進めている。 4.急性期病院における看護師と看護補助者の協働の実態を明らかにするために現在約200床の民間病院における参加観察の協力依頼を進めている。今後さらに、条件の異なる急性期病院での参加観察を実施し、病床数や診療科等による差異なども比較検討し、平成27年度に予定している看護師と看護補助者の協働状況と患者ケアの質に関する質問紙調査に向けて、調査項目の洗練を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年間の研究期間において、以下の3点①臨床現場における看護師と看護補助者との業務分担の実態調査②看護師と看護補助者の看護ケアに対する認識の解明③看護師と看護補助者との協働状況と患者ケアの質との関連、について明らかにすることを目指している。平成25年度は、国内での約1000床の大学病院での2病棟において、看護補助者への参加観察及び看護管理者、看護補助者に関わる病棟スタッフへのインタビューを実施し、看護ケアに対する認識及び、看護師と看護補助者の分担業務に関する質的データを収集することができた。現在、それらの質的データの分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するために、今後は以下の推進方策に基づいて実施する。研究プロセスにおいては、進行に伴い、病院の管理者である連携協力者からも専門的な助言を得ることとする。 1.看護補助者と看護師の協働における分担業務の実態と影響要因の分析:得られたデータから、看護補助者と看護師の分担業務について業務内容や範囲などの実態を整理する。複数の病院のデータが収集された後に、急性期病院において床数や診療科、看護補助者の勤務体制などの視点から分担業務の差異を分析する。さらに、得られたデータの内、特に、看護補助者の看護師に対する考えや看護ケアに対する認識について抽出し分析する。同時に、看護スタッフのインタビューデータから看護補助者に対する認識を分析し、看護補助者と看護師の協働に関わる影響要因を分析する。 2.看護師と看護補助者が協働する看護ケアにおけるアウトカムの検討:文献検討、得られた参加観察のデータ及びインタビューデータの結果より、看護師と看護補助者の協働する看護ケアの期待されるアウトカムもしくは看護ケアの質を低下させると懸念されるアウトカムを検討する。 3.看護師と看護補助者の協働状況と患者ケアの質に関する質問紙調査の実施:上記の1~3の分析結果を元に、看護師と看護補助者の協働状況と患者ケアの質に関する質問項目を選定し、洗練する。質問紙は全国の急性期病院に無作為に調査し、その実態を把握し、分析する。 4.看護師と看護互助者の協働の実態と看護ケアの質への影響の分析・成果発表:本研究で得られた看護師と看護補助者の急性期病院における協働の実態と影響する看護ケアの質の結果より、看護師と看護補助者の協働システムを提案し、国内外の会議及び、専門学会誌への投稿などを通して広く周知すると共に、各病院への報告会を設けて、社会に還元する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度にはまず約1000床の病院において2か所での参加観察を実施することができた。参加観察には倫理委員会での十分な審査が必要であり、それらの準備に時間を要し、データ収集開始が少し遅れたことは否めない。また、研究協力についての同意を得ることは、病院管理者の同意を得た後に、病棟管理者、そして、参加観察に研究者が入るという手続き上、病棟スタッフの4/5以上の同意を得て実施しているという細やかな手続きが必要であり、参加観察によるデータ収集という研究方法の限界によりデータ収集期間が1協力病院につき、予定以上の時間を要していることが一因でもある。具体的には、実施まで1か所において約半年以上の期間を費やす状況であり、現在分析を進めている状況である。平成26年度以降はさらに、共同研究者らとの連携によりデータ収集が進められると考える。 分析に要すると予定していた人件費などは平成26年度以降に必要となる。また平成25年度末の3月に、新たに約200床の病院への研究協力を依頼している。今後新たに参加観察によるデータ収集が継続される予定であり、データ収集に関わる交通費、印刷代、謝礼などは平成26年度にも引き続き必要となる。分析については、共同研究者間の検討が必要なために会議費も必要である。今後は、分析を多角的に進めるために、統計解析ソフト、記録媒体を購入する予定である。これらの研究成果をまとめ、協力機関や対象者に報告するため、資料整理補助費、印刷費、通信費も必要である。平成26年度以降においては、さらなる参加観察のデータ収集に関する交通費が必要である。また、得られたデータを元に質問紙調査へ進めるために、刷費用、郵送費などが平成27年度以降に必要となる。また、引き続き、本研究に関する文献検討を継続するため、図書および雑誌購入の費用が必要である。
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