2013 Fiscal Year Research-status Report
遷延性意識障害患者における「好みの音刺激」に対する副交感神経活動への影響
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25463365
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐竹 澄子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40459243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 暢子 聖路加国際大学, 看護学部, 准教授 (20327977)
羽入 千悦子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50317989)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護技術 / 副交感神経活動 / 遷延性意識障害 / 音刺激 |
Research Abstract |
研究1 副交感神経活動の文献検討の実施 当該分野および関連領域における副交感神経活動の意味を明らかにすることを目的に、当該領域および関連領域(医学、心理学、社会学等)における副交感神経活動について論じている文献(原著論文)の過去10年分(2003~2013年)について、国内文献の検索を行い検討中である。 当研究施設の図書館において、医中誌Web Ver.5を用い、「副交感神経活動」をキーワードとして検索し、原著論文、対象をヒトとして絞込み検索を行った。その結果、220件が抽出された。その中から、副交感神経活動の指標として心拍変動を用いている文献を選択し、178件を対象とした。各文献を研究者2名で分担し、「研究目的」「心拍変動の測定・解析方法」「分析方法」「結果・考察」「その他併用している測定指標」の項目にわけ、分類を行っている。概観として、副交感神経活動をリラックス等の心理的に安寧な状態の指標として使用している文献の他、自律神経活動の変化から疾患の診断治療、薬剤の効果等の検証する文献に分類できる傾向にあるのではないかと考えられた。詳細な分類については、現在も検討中である。 また、研究代表者が前年度に取り組んでいた「健常者における音刺激の自律神経活動への影響の検討」の分析結果を平成25年9月に開催された「日本看護技術学会第12回学術集会」にて報告した。好みの音刺激とその他の自律神経を変化させると言われていた音(音楽)刺激では、自律神経の変化に差はみられないという結論であった。しかし、心理的な指標として用いたVASでは、好きな音が他に比べて「楽しい」や「心地よい」気持ちが有意に高くなっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究の進捗状況として、平成25年3月までに、文献検討は終了し平成26年度実施の研究2の計画に着手している予定であった。しかし、文献検討の最終的な結論は出ておらす、やや遅れている状況である。 その理由として、以下の内容が挙げられる。研究代表者が、当該研究申請前に実施していた「健常者における音刺激の自律神経活動への影響の検討」の再分析と成果発表を前期に実施していたため、文献検討への着手が遅くなった。年度末までに検討する文献抽出と入手はほぼ完了しているが、申請したものの入手困難な文献もあるため、最終的な検討論文は全て揃ってはおらず、再度文献の精選を行う必要がある。また、分担している研究者同士のコミュニケーションは良好であるが、教育や他に着手している研究もある中、当該研究にかける時間的制約も多い現状があった。現在は、文献を分担し期限を決めて分類を行っているが、看護分野以外の論文も多く、専門外の知識を有する内容もあり、精読するために時間がかかる場合もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究1の文献検討のまとめを早急に行い、成果を11月の学会に発表する予定である。文献検討は、現在着手中であり、既に分類の枠組みを用いて整理を行っている。5月中旬には、分類した内容の分析を行い、「副交感神経活動」を指標として今後の研究を進めていくことへの可能性を吟味する予定である。 その後、研究1の結果を踏まえて、研究2として、「入院患者における音刺激の副交感神経活動への影響の検討」を計画する。これは、「好みの音刺激」が副交感神経活動を優位にできるか意識レベルの清明な入院患者を対象に、その時の感情と合わせて検討することを目的とする。測定機器や手順については、研究1の結果を踏まえ、研究者の先行研究時に使用した機器とは、別とすることも視野にいれ、検討していく。対象は、現在のところ、ベッド上安静を強いられるというストレス状況下にある入院患者10名程度をとしたいと考えており、研究デザインは、好みの音刺激の介入を基本とするが、実現可能で対象者にとって負担のない計画を立てていく予定である。研究2の実施時期の目安としては、研究者がまとまった時間が確保できる年度末の2月~3月を予定しており、年内までには倫理審査への申請と測定機器の準備と測定技術の習得を行っていくこととする。また、入院患者を対象とする研究となるため、病棟の協力が得られるように病棟とのコミュニケーションを図り、遂行できるように準備を進めていくこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究において、研究者が当該研究以前に実施していた研究の再分析や文献検討の際のデータ収集、分類、まとめの作業の人件費が生じる予定であったが、想定していたよりも小額ですんだこと、学会発表等に関わる費用も小額ですんだことが、理由として挙げられる。 使用計画としては、研究2実施にあたって機器の購入が予定され、その費用は高額となる予定であるため、その費用に当てたいと考えている。 また、次年度の学会発表は京都を予定していること、研究2で収集するデータの整理等に人件費がかかることが想定されるため、その費用としての用途も考えている。
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