2013 Fiscal Year Research-status Report
看護師が認知症高齢者の薬物療法を適切に援助するための教育プログラムの開発
Project/Area Number |
25463555
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 亮 大分大学, 医学部, 教授 (10325714)
末弘 理惠 大分大学, 医学部, 教授 (30336284)
濱口 和之 大分大学, 医学部, 教授 (60180931)
吉岩 あおい 大分大学, 医学部, 講師 (70363570)
井上 加奈子 大分大学, 医学部, 助教 (80634360)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 薬物療法 / 看護師 / 教育プログラム |
Research Abstract |
本研究の目的は、認知症高齢者の薬物療法を適切に援助するための看護師教育プログラムを開発することにある。2013年度は、第一段階研究として、認知症高齢者の薬物療法の援助に関する実態把握と課題の明確化を目的に行う質問紙調査の準備をすすめた。 1.文献検討:文献検索ソフトを用い、「高齢者」「認知症」「薬物」「看護」等をキーワードに過去5年(2009年~2014年)の文献を検索し、その内容を整理した。その結果、多くが服薬管理、誤薬や点滴管理等の医療安全に関する文献であり、認知症高齢者の薬物療法における看護師のアセスメントや具体的なマネジメントあるいは継続教育について検討された研究は見当たらなかった。 2.聞き取り調査:文献検討の結果、質問紙調査の枠組みを検討するための先行研究が乏しかったため、認知症高齢者の薬物療法に関する看護上の課題および看護師の学習ニーズについて、2014年3月に聞き取り調査を実施した。対象は、認知症高齢者の看護・医療に精通した一般病院に勤務する看護管理者および認知症看護認定看護師、訪問看護ステーション看護師、診療所医師各1名とし、文書と口頭で調査の趣旨や倫理的配慮を説明し同意を得た。調査の結果、一般病院では、入院時の薬歴把握とアセスメント、薬による生活機能の変化の予測と観察、与薬に係るリスク管理、入院中の服薬管理の判断と援助方法、医師および病棟薬剤師との連携等が課題であった。在宅看護における課題は、服薬中断への対応、主治医や専門医との認知症医療・ケアについての合意形成等であった。また、医師は、薬の変更後、生活機能の変化を予測した観察と的確な報告、多職種間でのコミュニケーションスキルの向上等を看護師の課題としてとらえていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2013年度は、認知症高齢者の薬物療法の援助に関する看護師教育プログラムを構築する上で根拠となる資料を得るため、看護師、医師、薬剤師および介護家族を対象に、薬物療法援助の課題に関する質問紙調査を実施する予定であった。しかし、文献検索を繰り返し行う中で、看護師のアセスメントと看護行為(医師・薬剤師等の連携を含める)の実際に焦点をあてた研究が乏しく、調査の枠組みを決定するには先行研究の検討だけでは不十分であることが明らかになった。そこで、卓越した認知症看護・医療の実践者である看護師と医師を対象とした聞き取り調査を追加することにした。このように質問紙調査の準備期間が延長したことにより調査の実施が遅れている。 今回、聞き取り調査を追加実施したことにより、病院や在宅における認知症高齢者の薬物療法援助の課題項目が整理された。この結果を早急に質問紙調査の実施につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、2013年度に計画していた看護師、医師、薬剤師および介護家族に対する質問紙調査を実施し、認知症高齢者に対する薬物療法の援助の課題を明らかにする。質問紙調査の開始が遅れているため、調査対象の範囲をコンパクトにし、調査票の妥当性について効率的・客観的に確認した上で、スピーディに実施する。即ち、調査対象は、一般病院および訪問看護ステーションの看護師、認知症専門医および認知症サポート医、認知症高齢者の服薬指導実績がある薬剤師、認知症専門医および認知症サポート医が担当する認知症高齢者の介護家族に絞り込む。また、調査票は、2013年度の研究成果(文献検討および聞き取り調査の結果)に基づき作成し、聞き取り調査の対象者に意見聴取を行う。データ分析は、研究分担者と役割調整を密にしながら速やかにすすめ、認知症高齢者の薬物療法の援助に関する看護師教育プログラムを構築する上での根拠資料としてまとめる。 2014年度後半は、第二段階研究として、教育プログラムと具体的な研修企画の検討に取り組む。本研究を効率的・効果的にすすめるには、日頃より地域での認知症医療・ケアネットワークの一員として看護師のみならず多職種との協力関係を結ぶ必要がある。研究代表者は、現在、行政や専門職による認知症医療・ケアの地域ネットワークづくりに関わっている。本研究の推進基盤となる地域活動に積極的に取り組みながら、教育プログラムの実施・評価につなげたい。
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