2015 Fiscal Year Research-status Report
看護師が認知症高齢者の薬物療法を適切に援助するための教育プログラムの開発
Project/Area Number |
25463555
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 亮 大分大学, 医学部, 教授 (10325714)
末弘 理惠 大分大学, 医学部, 教授 (30336284)
濱口 和之 大分大学, 医学部, 教授 (60180931)
吉岩 あおい 大分大学, 医学部, 講師 (70363570)
井上 加奈子 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助教 (80634360) [Withdrawn]
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099)
甲斐 和歌子 大分大学, 医学部, 助教 (10761562)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 薬物療法 / 看護師 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症高齢者の薬物療法を適切に援助できる看護師の育成をめざし、薬物療法の援助の実際・課題に照らした教育プログラムの検討・実施、教育効果の検証を行うことにある。2015年度は、第一段階の研究として、認知症高齢者の薬物療法の援助の実際および学習課題を明らかにするために、看護師を対象とした郵送法による自記式質問紙調査を実施した。 対象は、一般病床あるいは療養病床に勤務する看護師〔病棟看護師〕426名、訪問看護ステーションに勤務する看護師〔訪問看護師〕105名、介護老人保健施設・特別養護老人ホームに勤務する看護師〔施設看護師〕88名とした。回収数は、病棟看護師243名(57.0%)、訪問看護師75名(71.4%)、施設看護師72名(81.8%)であった。 常時の実施率が60%以上の服薬支援内容は、病棟看護師では「入院時、これまでの服薬管理方法を把握」「認知症の進行度や服薬行動から管理方法を個別に判断」「配薬時、本人確認・処方内容を確認」「服薬時の飲み込み確認」、訪問看護師では「残薬、服薬状況の確認」、施設看護師では「すべての処方薬の種類等の把握」「配薬時、本人確認・処方内容を確認」であった。一方、常時の実施率が20%未満の服薬支援内容は、三者共通で「薬剤師に処方内容や服薬方法を相談」が、病棟看護師では「容態の悪化や回復の遅延時、薬の作用・副作用を予測した観察」「退院にむけて、医療チームで服薬支援について話し合う」、訪問看護師では「市販薬・健康食品等の使用状況の把握」「ヘルパー等に処方内容や薬の作用・副作用を説明」、施設看護師では、「介護職に処方内容や薬の作用・副作用を説明」であった。学習課題については、三者共通して「多剤併用が高齢者にもたらす問題点と対策」「認知症に関する医学知識」の学習必要度が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2015年度は看護師が行っている認知症高齢者の薬物療法の援助の実際および学習課題を明らかにする目的で、病院・在宅・施設の看護師を対象とする質問紙調査と並行して、看護師と連携・協働して薬物療法にあたる医師、薬剤師(病棟で薬剤業務を行う薬剤師、在宅対応可能な薬局の管理薬剤師)、また認知症高齢者の介護家族を対象に調査を行う計画であった。調査対象が7と多岐にわたるため、対象それぞれに応じた調査手続きの調整、調査内容の検討、関係者・関係団体への意見聴取に時間を要した。また、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015の公表、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)や診療報酬制度改正等の施策の動向をふまえ、調査内容を再度検討した。そのため、医師、薬剤師および介護家族への調査が遅れているが、次年度早々に実施し、看護師の教育プログラム作成・検討につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、医師、薬剤師および介護家族に対する質問紙調査を速やかに実施する。看護学系研究分担者と役割調整を密にはかりながら、先に行った病院・在宅・施設勤務の看護師を対象とした調査結果とあわせ、認知症高齢者の薬物療法の援助に向けた学習ニーズを分析する。調査の結果は冊子にまとめ、次に実施する看護師教育研修の予告文書とともに対象施設に送付する。 次いで、調査結果を根拠とした看護師教育プログラムの作成と具体的な研修計画について医学系研究分担者を含め検討する。看護師対象の調査結果では、高齢者の多剤併用への介入や認知症の医学知識の学習必要度が高かったことから、この結果をふまえたプログラム作成を行う。また、病院・在宅・施設の看護師にとって妥当性、実効性の高い研修計画を検討するために、質問紙調査の準備において協力を得た一般病院、訪問看護ステーション、介護施設の看護師や関係団体に意見聴取を行う。 年度後半には、研究の最終段階である看護師教育プログラムの実施と評価に取り組む。受講対象者は、調査対象と同様に病院・在宅・施設の看護師とし、講師役を研究分担者と2013年度に行った聞き取り調査において協力を得た認知症看護認定看護師等とする。
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