2013 Fiscal Year Research-status Report
倫理的悩みの解決に向けた精神科倫理コンサルテーション・システムの効果の検証
Project/Area Number |
25463597
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sonoda Women's University |
Principal Investigator |
大西 香代子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00344599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北岡 和代 金沢大学, 保健学系, 教授 (60326080)
吉池 毅志 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (60351706)
STONE Teresa・E. 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70639236)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 倫理的悩み / 倫理的感受性 / 倫理コンサルテーション / 精神科看護師 / バーンアウト |
Research Abstract |
今年度は、大きく2点を実施する予定であった。1つは、看護師の置かれた状況の違いが、倫理的悩みにどの程度影響するのか、そして倫理的感受性、倫理的悩み、バーンアウトの3者の関係を確認するために、海外の精神科看護師を対象として質問紙調査を行うこと、もう1つは、精神科倫理コンサルテーション活動の研修を受けることであった。 海外での調査については、オーストラリア、ニューキャッスル大学の研究者と、英語による質問紙の作成、調査方法についての検討を重ねた。ニューキャッスル大学での倫理審査の受審、インターネット上で調査ができるサーベイモンキーの利用に向けて、準備を進めている。また、フィンランドで行った調査(調査自体は昨年度実施)をもとに、解析を行い、英語論文を作成した。これから投稿予定である。 倫理コンサルテーションについては、海外でも行われているが、日本でも先進的な取り組みを行っているところがあり、研究代表者と研究分担者2名は、そこで研修を受けることができた。まず熊本大学の浅井篤教授(2014年度からは東北大学に異動)は、2007年からインターネット上に「臨床倫理コンサルテーション」のホームページを立ち上げ、Eメールを利用した相談活動を行っている。浅井教授より、コンサルタントの構成、相談活動の流れ、年間の相談件数、運営上の注意点など、詳しい話を聞くことができた。次に、宮崎大学の板井孝壱郎教授は、前述の臨床倫理コンサルテーションにも関わり、コンサルタントの一員でもあるが、そのほかに宮崎大学に「喫茶りんり」を開設し、誰もが気軽に立ち寄って相談できる場として、一人でコンサルテーション活動を継続されている。ここでも、相談活動の実際や運営上の注意点を聞くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究計画のうち、オーストラリアでの調査は予定より遅れているが、これは「精神科倫理コンサルテーションシステム」を構築するという本研究の目的の達成を遅らせるものではない。 2013年度に予定していた研修を受けることができ、本研究でこれからどのような形で「精神科倫理コンサルテーションシステム」をつくり、運営していけばいいか、研究者間で具体的なイメージをもつことができた。 したがって、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である2014年度に行うことは、「精神科倫理コンサルテーション」のホームページを立ち上げ、運営することである。そのためにホームページに掲載する内容の吟味、コンサルタントのリクルート(本研究に関わる4名では足りないと考えられるため)、周知方法、効果の評価方法等について検討することが必要である。5月か遅くとも6月には研究会議を開催し、前述の内容を具体的に検討する。その後、6,7月には実際にホームページを開設し、相談を受け付けることになる予定である。 精神科の臨床現場で看護師が感じている倫理的問題のなかには、どうすることが患者にとってよいのか、答がわかっているもの(だが、現実には実行が難しい)も多いと予測される。そこで、日本より倫理的な配慮が行き届いた海外の状況やその問題について先進的な取り組みをしている日本の病院の事例を紹介するなど、相談者の相談内容の増加に伴って、ホームページ上の記事を充実させていくことになろう。 また、この精神科倫理コンサルテーションシステムについて、学会での発表したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外で倫理コンサルテーションに関する研修を受ける予定であったが、先に日本で取り組んでいるところで研修を行った。そのため、経費(旅費)が少なくなった。 海外での倫理コンサルテーションの取り組みや、精神科医療における倫理的問題の解決の仕方などについて、2014年度に研修を行う予定である。したがって、持ち越した研究費は海外旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)