2013 Fiscal Year Research-status Report
地域保健活動評価のためのソーシャル・キャピタル測定尺度の開発
Project/Area Number |
25463608
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
河原田 まり子 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (90374272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 ゆかり 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (70433141)
本田 光 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (80581967)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域保健活動 / ソーシャル・キャピタル / 測定尺度 / 保健師活動 / 健康 |
Research Abstract |
平成24年に地域保健対策の推進に関する基本的な指針の一部が改正され、人々の繋がりや助け合いという社会関係資本としてのソーシャル・キャピタルを活用した自助および共助の支援の推進が推し進められることになった。ソーシャル・キャピタルと健康との関連が近年多数報告されており、ソーシャル・キャピタルを醸成する保健師の役割が期待されている。本研究は地域保健分野で活用できる信頼性・妥当性の高いソーシャル・キャピタルの測定尺度を開発することを目的としている。信頼性・妥当性の高い尺度の開発は、わが国で目指している新たな地域保健活動の評価と進展に寄与するのみでなく、健康を規定する社会的要因の研究の深化にも貢献できる。 平成25年度は、尺度項目の具体的な内容を抽出するために、全国の4道県(沖縄県、長野県、石川県、北海道)の5市町村にフィールド調査を依頼した。平成25年9月から12月に、5市町村の住民代表13名と保健師11名を対象に個別インタビューを実施した。インタビューの内容は同意を得た上で録音し、逐後録を作成してデータとした。データ解析は、逐後録からソーシャル・キャピタルの内容を抜粋してコード化し、さらにサブカテゴリー、カテゴリーを抽出した。解析は住民のデータと保健師のデータを分けて解析中である。住民の語りからは、【安心を得られる身近な人とのつながり】【活発な地域活動で広がる人の輪】【気さくで頼りになる役場やリーダー】など9つのカテゴリーが抽出された。保健師の語りからは、【住民同士の関係性の距離】【地域に根付いている活動】【地域活動に積極的な住民の力を活かせる場や機会】など7つのカテゴリーが抽出された。今後はデータを統合し、地域保健活動の成果としてのソーシャル・キャピタルの内容を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画は次の3点を予定していた。1)地域保健活動分野におけるソーシャル・キャピタルの構成概念や測定尺度の適用範囲等について文献検討を行う。2)4ヶ所の自治体のフィールド調査により,ソーシャル・キャピタルの構成要素としての自治体活動や地区組織活動について把握する。3)地域保健活動を担う保健師と地域住民を対象(各12名程度)を対象にした質的記述的研究方法により,地域のネットワーク,人々の助け合いと信頼関係の構成要素を抽出する。 実施状況は、5か所の市町村へのフィールド調査を実施した。また、各自治体の保健師11名および住民13名へのインタビュー調査も終了し、ほぼ予定どおり進行している。地域保健活動分野における国内の文献検討は終了し、海外文献については検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画は、平成25年度に実施した文献検討と質的記述的研究の成果に基づきソーシャル・キャピタルの尺度項目案を作成する予定である。 最初に、研究者間で表面妥当性について検討し,質問項目原案を作成する。さらに、予備調査を行い質問項目の精神を行う予定である。 予備調査は、内容妥当性の検討として、北海道の市町村と保健所に勤務する中堅保健師を対象に実施する予定である。また、項目の妥当性の検討のために、北海道の地域住民約50名を対象に質問紙調査を実施し,天井効果や床効果などの項目分析を行い,質問項目を精選する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィールド調査を予定していた自治体の1か所が予定より近い場所であったため、旅費の執行額が予算額より少なかった。研究補助については依頼した研究補助業務を行うことができる人材確保の問題で、当初の予定より依頼内容を減らしたため、予算執行が予定より少なかった。購入予定であった設備備品について、年度内に物品購入の申請を行ったが、申請時期が遅れて年度内の納品が間に合わなかった。そのため、年度内購入を取りやめて次年度に繰り越すことになった。以上の理由により、予定額より予算の執行が少なかった。 平成25年度購入予定であった設備備品については平成26年度早期に購入する予定である。研究補助業務については、研究補助依頼内容に応じて、研究補助者を確保して研究の推進を図る予定である。
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Research Products
(2 results)