2015 Fiscal Year Research-status Report
在宅パーキンソン病患者の災害支援システムの構築と運用
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25463627
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松浦 治代 鳥取大学, 医学部, 教授 (70243409)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 難病 / パーキンソン病 / 自主防災 / 地域支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、パーキンソン病(PD)患者の災害対策について、特に患者自身が準備できるための支援のあり方を明らかにし、患者との学習会開催し、実践につなげることである。 27年度は、1)民生委員の立場から災害要援護者への対策についてのグループインタビューを実施した。2)西日本で県支部ごとに患者会に入会しているパーキンソン病患者を対象に、災害対策の準備の実態調査、3)A県B市の自治会を対象に、自治会での難病患者を含む災害時要援護者への対応準備についてのアンケート調査、4)自治会で実施している具体的な対策のインタビューを実施した。 民生委員へのインタビューの対象は11人で時間は60分であった。民生委員は、災害時に民生員はもとより地域で「支援」する準備はあるが、PDについて知らない、要支援者の情報提供は「強制できない」ため、共有が困難であり「手が出せない」状況にあった。患者の、病気や障がいの事は秘密にしたい「言えない」思いも理解し、要援護の状況については民生委員等公的な役割の者に伝えておくことも重要だが、障害や病気等を切り口に、近隣、患者会など誰かとつながりを持っておくこと、非常時に備え病名や内服薬等のわかる「情報カード」の携帯など患者自身の準備の重要性も感じていた。民生委員が、「患者情報カードの携帯」等の情報を持ち、日頃の活動の中で地道に伝え広めていくことを重視していた。カード作成には「費用」の問題もあげられた。 自治会長へのインタビューでも、「要援護者の情報共有」の難しさが挙げられた。いずれも、障がいの程度や家族などの支援状況にもよるが、患者自身がそ自らの必要性に応じて非常時の情報提示の方法を事前に検討、準備しておく必要性を示唆していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究者の体調不良もあり、インタビュー協力者との日程調整に時間がかかり、対象数が予定に達しなかった。インタビュー逐語録作成、アンケート集計のための補助人員の確保にも時間を要した。 そのため、分析も遅れ、学習会内容の検討が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.自治会長インタビューの分析結果により、追加インタビューを検討する。 2.アンケートおよびインタビュー結果から、研究の結果報告を含む、災害準備学習会の開催(5回)を予定している。現在、患者会と学習会の日程及び内容を協議中である。 3.患者への災害対策の困難さについてインタブビューを実施する。 4.学習会での意見を集約し、患者会と災害時に準備すべき内容について報告書(パンフレット)を作成、配布する。また、患者情報カードの内容を検討し作成する。
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Causes of Carryover |
インタビューが予定数に達しなかった、学習会の未開催、成果発表に至らなかったため旅費、および会議費、報告書等の印刷、発送の費用が支出されず、使用差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加のインタビュー(旅費、分析補助)、学習会の開催、成果発表・報告(学会発表、報告書印刷及び送付)により支出の予定である。
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