2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25463635
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
波多野 浩道 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50164851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 慎平 鹿児島大学, 医学部, 講師 (80363612)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 健康行動 / 島嶼 / ネットワーク / エスノグラフィー |
Research Abstract |
本年はまず、先行研究のレビューを行った。その結果、健康な行動だけでなく不健康な行動にもソーシャル・キャピタルがどのように関与するかという課題設定の一定の妥当性と、それに関連し、ソーシャル・キャピタルの定義およびその測定方法について、示唆が得られた。本テーマに関する国外の研究動向としては、これまでの研究では社会的凝集性を強調しすぎ、インフォーマルなネットワークや家族のサポート等、地域生活の目的を達成するためのリソースや、それらのリソースへの各個人の相対的なアクセスを見落としているとの指摘や、部外者の排除、グループメンバーへの過度の要求、個人の自由の制限といったソーシャル・キャピタルの負の側面を捉えられていないという指摘がみられ、課題設定が一定の妥当性を有すると考えられた。概念定義としても、Bourdieuのソーシャル・キャピタルの側面を近隣資源と捉え、近隣のソーシャル・キャピタルは近隣資源と社会的凝集性の2者から成り立っているととらえることで、負の側面を捉えることにもなり、何よりもネットワークに埋め込まれたリソースを捉える事ができると考えた。文献レビューを健康分野に限定せず、広く渉猟し、ソーシャル・キャピタルの測定方法に、重要な視点が得られた。そこから、質的研究のリサーチ・クエスチョンを次のように考案した。「近隣のソーシャル・キャピタルである、社会的凝集性と近隣資源がどのように健康事象に影響しているか」、特に「健康に正にあるいは負に影響を及ぼす近隣の実体的・潜在的資源は何か」、「近隣資源に対して、ネットワークのメンバーがどのようにアクセスするのか」である。ネットワークに埋め込まれた資源を、いわばネットワーク内外に出入りする文脈上にプロットする方法は既存のものではなかった。従って、本年度は、エスノグラフィックなアプローチで、インタビューガイド作成に向けた予備調査までを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
QOLや全体的な健康あるいは健康行動を近隣のソーシャル・キャピタルがどのように維持・改善しうるのかを明らかにすることが、本研究の目的である。本年度の目標とした先行研究のレビューについては、より広範にソーシャル・キャピタル論やネットワーク論を渉猟することで、ソーシャル・キャピタル特に社会資源の測定方法については、重要な視点が得られた。しかし、もう一つの目標である、質的研究の成果により、『近隣のソーシャル・キャピタルと健康の関連』を捉えるモデルを構築はできなかった。先行研究では、ネットワークに埋め込まれた資源であるソーシャル・キャピタルを測定する方法は開発されておらず、その方法を検討する予備調査といえる段階に留まった。調査対象島嶼についても、受け入れはよいが、実施時期の関係で、実施できなかった地域もあった。進捗状況の見通しが甘かったことは反省点である。
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Strategy for Future Research Activity |
『近隣のソーシャル・キャピタルと健康の関連』を捉えるモデルの検証としては最終目的には変更はないが、2年目以降に設定していた目標である『近隣のソーシャル・キャピタルと健康の関連』モデルを量的研究で検証することは変更し、2年目も質的研究によりそのモデルを構築するものとする。1年目の課題が十分に達成できなかったことも、その理由の一つであるが、それ以上に、ネットワークに埋め込まれた資源を、いわばネットワーク内外に出入りする文脈上にプロットするという課題は、まだ先行研究では達成できないことが明らかになり、そのような観点すら多くの研究では考慮されていない。エスノグラフィーによるケースを積み重ね、帰納的にそのモデル解を導きたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
リサーチクエスチョンの設定、それをインタビューガイドに落とし込むのが、先行研究に参考になるものがなく、試行錯誤を重ね、予備調査に終わったので、逐語録に起こす作業や、ソフトでの解析等の作業を進めることができなかったので、その分の支出がなかった。レビュー等をうける謝金も発生しなかった。予備調査も、受け入れ島嶼の調査可能時期を逸したところもあり、旅費も未使用となったところもあった。以上により、次年度使用額が大きくなった。 可能な限り、対象島嶼での調査可能な時期に合わせて、共同研究者および研究協力者も一緒に、集中的に調査を実施する。
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Research Products
(1 results)