2013 Fiscal Year Research-status Report
虐待予防のグループ・ミーティング支援プログラムの有用性と参加継続要因
Project/Area Number |
25463649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
清水 洋子 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (90288069)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グループ支援効果 / グループ中断の要因 / 子ども虐待予防 |
Research Abstract |
保健センター計4か所で実施している子ども虐待予防のグループ支援事業参加者計74名を対象に、参加継続の効果と終了・中断者の理由(母の発言より)について調査し、運営・援助上の課題を分析、検討した。 事業参加前後に調査を実施し、個人差はあるが参加後に母親はI.母と子どもの関係 II.子ども以外との関係 III.G参加の直接的効果の3領域において改善が認められた。 一方、終了・中断者47名の理由を担当保健師から書面にて情報を収集し、コード化、内容分析し運営・支援上の課題の要素を抽出した結果、以下の事項が確認された。 問題解決は14名、未解決・中断21名、転出1名、就労3名、就学・就園8名であった。問題解決の理由は、気持ちが落ち着いた、悩みがない、などが示された。未解決・中断の理由には、話をすることが大変、本音をなかなか話せない、自分の悩みに話題が合わない、他人の話を聞いて自分のできなさに気づく、話した後で不安になる、他の参加者に嫌な思いをさせたと気になる、思うような答えがもらえず辛い、他者に共感できない、共感してもらっても解決にならない、辛い話を聞くと辛くなる、他者の話の内容が重くて引きずる、時間を守れない、参加者と幼稚園が一緒で気まずい、児と離れるのが苦痛、などが示された。中断理由に関連する運営・支援上の課題として、1)教室参加の各自の目標設定の妥当性(母親側・保健師側・両者の意図の相違)、2)事業目的と対象選定、3)安心できる環境の保証、4)事前、事後の個別支援のあり方、5)託児担当保育士等の関係者との連携、6)ファシリテーターの技術、7)グループ支援に期待する効果の認識(母親側、支援者側)の要素が抽出された。すなわち、虐待予防の対象となる母親の心理やニーズは多様であり、個々の状況に適した支援を行うには、事業運営や個別支援のあり方、関係職種間との連携など再検討する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、アセスメント・評価ツールを用いた子ども虐待予防のグループ・ミーティング(以下、グループ)支援プログラムの有用性、および母親の参加継続要因について明らかにすることである。 今年度は4か所の研究協力機関・対象に研究協力を依頼し、了解が得られた参加者・支援者を対象にグループ参加の効果を継続的に測定し限られた期間の範囲であるが効果を実証することができた。また、終了・中断者の理由について調査を実施し、中断理由と運営・支援との関連を検討することにより、参加継続や効果に影響するグループ運営と個別支援方法の重要な課題が抽出され、目的であるプログラムの効果と参加継続を促す要因に関する重要な情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実績を踏まえ、次年度以降は参加を継続している者について参加継続期間と参加の効果、参加継続要因について情報収集し検討を進める予定である。 また、新規研究協力機関の開拓をしながら、プログラム効果と、中断者の特性や背景、グループと個別支援との関係について更に調査を進め、継続者と中断者の双方の視点から研究を推進し、「アセスメント・評価に基づくグループ支援プログラム」の有用性、参加者の参加継続要因について明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
諸外国研究者との打ち合わせを予定していたが諸事情により今年度中に実施することができなかった。また、予定していた解析ソフトの購入、研究協力者支援とアルバイト補助者の十分な確保が得られず計画通りの経費遂行ができなかった。 次年度は前年度に執行できなかった諸外国の研究者との打ち合わせや国際学会参加による情報収集、物品購入および研究協力者支援とアルバイトの確保を行い、次年度の経費使用と合わせて、予定どおり研究が遂行できるよう研究費使用計画を調整し遂行していく予定である。
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