2015 Fiscal Year Research-status Report
虐待予防のグループ・ミーティング支援プログラムの有用性と参加継続要因
Project/Area Number |
25463649
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 洋子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (90288069)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子ども虐待 / グループ支援 / 効果 / 参加継続要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
子ども虐待予防グループ支援(MCG)事業の参加者(母親)30名を対象に、参加による主観的効果と参加継続(回数)との関連を明らかにするため調査を実施し検討した。 効果測定項目は、第1階層3領域:母と子の関係、子以外との関係、MCG参加の直接的効果、第2階層7領域:育児困難感、罪悪感、子との関係、夫・両親との関係、共感・受容・孤独感、対処力、MCGの必要性、に続く第3階層計20項目(0-6点;7段階)、母・子のFace Scale(1-7点)とし、参加初期と参加後(約6ヶ月毎)の値を比較した。 分析方法は20項目スコア変化量(最終-初回)と参加回数との相関分析(Spearman)を行い、項目変化量を目的変数、母年齢、第1子年齢、回数、母・子Face Scale (最終回)を説明変数として重回帰分析を行った。 結果、1.子どもとの関係(r=0.53)、グループに受け入れてくれる人がいる(r=0.43)、グループに共感してくれる人がいる(r=0.42)、グループは子育てに必要な場(r=0.41)、家事は一人で背負わなくてよい(r=0.39)と参加回数には相関が示された(p<0.05~0.01)。2.参加回数の影響が示された効果項目は、子との関係を振り返る、グループに受け入れてくれる人がいる、困った時に相談しようと思う、グループは子育てに必要な場であった。3.参加初期において1年以上群は未満群より第2階層の罪悪感を除く6領域の平均値が低かったが、参加後は育児困難感、共感・受容・孤独感、対処力、MCGの必要性の平均値は未満群より高く改善が示された。 すなわち、子との関係を振り返る、他者へ相談、グループの受容とグループは子育てに必要な場の改善には、参加回数が影響する一因と考えられ、参加を継続することでより効果が期待できると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き4か所の研究協力機関・対象に研究協力を依頼し、了解が得られた参加者を対象にグループ参加の効果を継続的に調査し、参加回数や期間、主観的効果等との関連について検討した。 結果、個人差や効果測定項目により差があるものの概ねグループ支援による参加者の効果(改善)が認められた。さらに、複数の効果測定項目と参加回数、参加期間とは関連が示され、参加継続と参加の効果には関連があり、効果には参加回数・期間が影響する一因であることが確認された。 次年度には他の自治体のグループ支援事業担当者らにグループ支援参加者の継続参加のための支援や継続参加状況に関する情報収集を行い、これまでの研究結果の妥当性に関しても検討していく予定であるが、既に研究協力の内諾を得ている自治体支援者もあり、概ね研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方策は、1)これまでの研究成果に関する情報を整理し、保健師等支援者らと共に総合的に分析し、支援プログラムの有用性と参加の効果、継続参加を促す要因等について明らかにする、2)分析により明らかになった不足情報は適宜協力機関より情報を入手し、研究の完成度を高める。さらに、研究により明らかになった今後の研究課題について具体化する、3)実証されたグループ支援プログラムの効果的な運用とその効果・有用性に関する情報を整理し、支援者等が活用できるよう手順書を作成する、4)最終成果報告書を作成する予定である。 具体的に、前年度に引き続き4か所の研究協力機関・対象に研究協力を依頼し、了解が得られた参加者を対象にグループ参加の効果を継続的に調査し、参加回数や期間、主観的効果との関連について検討を重ねる。継続参加に影響する要素について、参加者側と支援者側の双方の観点から得られた情報を整理し、要因を検証する。そして、「アセスメント・評価に基づくグループ支援プログラム」の有用性、および参加者、中断者の特性、参加者の参加継続要因について明らかにし、最終報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、成果発表を行った国際地域看護学会の開催地が韓国であったため渡航費が安価で抑えられたこと、研究協力機関との打ち合わせ等会議開催回数が機関の都合により予定より少なかったことから旅費が減額となったこと、研究補助者の人件費の使用が当初予定したより減額となったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画については、研究協力機関への調査・打ち合わせおよび成果を国内外の学会で発表するための旅費、研究成果のデータおよび研究に関連する資料の整理・分析および最終成果報告書作成のための研究補助者の人件費・謝金、手順書や研究成果資料の印刷費、学会投稿料、研究遂行に必要な通信・郵送料の使用を予定している。
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