2016 Fiscal Year Research-status Report
虐待予防のグループ・ミーティング支援プログラムの有用性と参加継続要因
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25463649
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 洋子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (90288069)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子ども虐待予防 / 個別支援 / グループ・ミーティング / 効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.2市4保健センターの子ども虐待予防グループ支援(MCG)事業の参加者(母親)20名を対象に、グループ参加による主観的効果の調査を行った。効果測定項目は、第1階層3領域:母と子の関係、子以外との関係、MCG参加の直接的効果、第2階層7領域:育児困難感、罪悪感、子との関係、夫・両親との関係、共感・受容・孤独感、対処力、MCGの必要性、に続く第3階層計20項目(0-6点;7段階)、母・子のFace Scale(1-7点)とし、参加初期と参加後(約6ヶ月毎)の値を比較した。 2.グループ参加者のアセスメント・評価ツール(以下、ツール)の評価項目に関する支援者(保健師)の重要度の認識を明らかにするため、MCG支援を担当した保健師11名を対象にツールの各項目に関する重要度の一対比較調査票を作成し、匿名により調査し分析した。内容は、第1階層3領域:母と子の関係、子以外との関係、MCG参加の直接的効果、第2階層7領域、第3階層20項目の構造化を行い、各項目の一対比較調査を実施し重要度、幾何平均値を算出した。 結果、1)第1階層3領域の重要度は“母と子の関係”が最も高く、次いで“子ども以外との関係”、“MCG参加の直接的効果”の順であった。2)第一階層の”母と子の関係”の第三階層項目の重要度は、“参加することで自分の気持ちが楽になる”が最も高く、次いで“子育てがつらい気持ちが軽減される”、“子育てはつらい”の順であった。第1階層“子以外との関係”の第三階層項目の重要度は、“自分の子ども時代の親子関係を振り返る”が最も高く、次いで“自分と夫との関係を振り返る”“夫は育児、家事に参加している”の順であった。 これらの結果より、保健師のMCGのアセスメント・評価項目に対する重要度の認識が明らかになった。一方、保健師の重要度の認識には差がみられ、支援の目的と評価項目、事業運営に関する合意形成の強化が必要であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き2市4保健センターの研究協力機関・対象(母親)に研究協力を依頼し、了解が得られた機関、事業参加者を対象にグループ参加の効果を検討するため調査を実施した。結果、個人差や効果測定項目により差があるものの概ねグループ支援による参加者の効果(改善)が認められた。 しかし、各センターのグループ事業の新規参加人数が当初の予定より少なく、また継続参加者のうち、母親や子どもの体調不良(インフルエンザ等)の理由から事業を欠席する事例が多かったことから継続調査を延期した者が複数発生した。 これらの理由から、予定のサンプル数の調査が実施できず計画の見直しを行う必要が生じた。そこで、調査を平成29年度まで延長することで対象数を確保し、分析の精度を高めて研究の完成度を高める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方策は、1)前年度に引き続き了解が得られた研究協力機関とグループ事業参加者を対象にグループ参加の効果を継続的に調査し、参加回数や期間、主観的効果との関連について検討を重ねる。継続参加に影響する要素について、参加者側と支援者側の双方の観点から分析し要素を明らかにする。 2)これまでの研究成果に関する情報を整理し、保健師等支援者らと共に総合的に分析し、「アセスメント・評価に基づくグループ支援プログラム」の有用性と参加の効果、継続参加を促す要因等について明らかにする。 3)不足情報は適宜協力機関より情報を入手し、研究の完成度を高める。 4)実証されたグループ支援プログラムの効果的な運用とその効果・有用性に関する情報を整理し、支援者等が活用できるよう手順書を作成する。得られた研究成果を整理し、最終成果報告書を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は各センターのグループ事業の新規参加人数が当初の予定より少なく、また継続参加者のうち、母親や子どもの体調不良等の理由から事業を欠席する事例が多かったことから調査を延期した者が複数発生した。 これにより、研究協力機関との打ち合わせ等会議開催回数が予定より減少し、会議の回数が減ったために旅費が減額となった。また、調査対象人数が予定より減少し分析に要する研究補助者の人件費の使用が予定より減額となったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画については、研究協力機関への調査・打ち合わせおよび成果を国内外の学会で発表するための旅費、研究成果のデータおよび研究に関連する資料の整理・分析および最終成果報告書作成のための研究補助者の人件費・謝金、手順書や研究成果資料の印刷費、学会投稿料、研究遂行に必要な通信・郵送料の使用を予定している。
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Research Products
(1 results)