2016 Fiscal Year Research-status Report
セクシュアリティの健やかな発達を促す教育プログラムの開発
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25463652
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
西頭 知子 大阪医科大学, 看護学部, 講師 (90445049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 くみ子 鳥取大学, 医学部, 教授 (00284919)
佐々木 綾子 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (00313742)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セクシュアリティ教育 / 性教育 / 思春期の親の支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画初年度に発表された「第7回青少年の性行動全国調査報告」(2013)では、青少年の性行動は、活発な層と非活発な層に分極化する現象が起きていることが示されており、不活発な層においては、性に対して無関心、無気力であることが指摘された。本研究の当初の計画では、若者の性行動の活発化を主な課題として捉えていたことから、青少年の性行動全国調査の結果を受け、より実情にあった計画にすべく計画の見直しを行うことが必要であった。また、2013年に文科省による「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査」が実施されたことや、LGBTに代表されるような性的少数者に対する社会的関心が高まったことなどから、思春期の子どもたちのセクシュアリティに関わる様々な問題が明らかになり、そのような問題を抱える子どもの親たちへの対応の必要性も指摘されている。このような現状を受け、本研究で取り組むセクシュアリティ教育の対象を当初の「思春期の子ども」から「思春期の子どもと親」に変更することとなった。 先行研究により、思春期の親が子育てに対してストレスや困難感を感じ、相談を必要とするものも多いことが報告されていることから、平成28年度は思春期の子どもをもつ親の具体的なストレスや困難感を知ることを目的に、思春期の子どもをもつ9名の母親を対象とした半構成的面接を行った。現在、面接の録音内容をもとに作成した言語データから、母親が感じている子育てに対する困難さの要素を抽出する作業を進めている段階である。 平成29年度は、この調査から得られた結果をもとにアンケート用紙を作成し、より多くの母親たちの思春期の子育ての現状を知ることを目的としたアンケート調査を実施する予定である。このアンケート調査の結果と文献検討で得られた知見から、セクシュアリティの健やかな発達を促す親と子のためのプログラムを開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
若者の性行動における大転換期を捉え、実情にあったプログラムとなるよう計画の修正を行った結果、初年度より研究の達成度が遅れたため、当初計画では4年間だった研究期間を1年延長することとなった。 現在、思春期の子育て中の母親を対象としたインタビュー調査の結果から、母親たちの子育てに対する困難感や戸惑い、周囲へのニーズ等が明らかになりつつある。最終年度は、これらの結果を踏まえアンケート用紙を作成し、小学校高学年から中学生の母親を対象としたアンケート調査を実施する予定である。アンケート調査から得た結果と文献検討で得られた知見をもとに思春期の子どもと親を対象とした教育プログラムを考案する。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューの結果から、母親たちは思春期の子どもの言動の変化や不安定さを理解しながらも、自分自身も子どもに対する態度や接し方が不安定になっていることや、正解のない子育てや近い将来に関する不安等を感じていることが明らかとなっている。このような結果から、思春期の子どもやその親に対するセクシュアリティ教育に対して、一定の親からのニーズはあると考えられ、アンケート調査に対する受け入れもよいことが期待できる。さらには、子どもと親を対象としたプログラムの実施においても、子育ての現状や親のニーズを反映したより実情に合った内容にすることで、参加への協力が得られやすくなることが期待できる。
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Causes of Carryover |
計画初年度に「第7回青少年の性行動全国調査報告」(2013)の結果を受け、より実情にあった計画にすべく計画の見直しを行った。また、2013年に文科省が実施した「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査」をはじめとした調査報告から思春期の子どもたちのセクシュアリティに関わる様々な問題が明らかとなり、そのような問題を抱える子どもの親たちへの対応の必要性が指摘されていることから、本研究で取り組むセクシュアリティ教育の対象を当初の「思春期の子ども」から「思春期の子どもと親」に変更した。より現状にあった教育プログラムにすべく2度の研究計画の見直しと修正を行ったことから、研究期間を延長し、それに伴い次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度はアンケート調査の実施、分析、プログラムの考案・実施を予定しているため、これらに掛かる費用として計画している。具体的には、アンケート調査用紙の発送と回収、分析に使用するための統計解析ソフトや作業効率化のための携帯型パーソナルコンピューター等の購入、データー入力の業者への依頼、研究分担者や調査対象者(または施設)との打ち合わせおよび会議に掛かる費用、その他学会への出張等である。
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