2014 Fiscal Year Research-status Report
わが国における歯科医療倫理学の構築のための発展的研究
Project/Area Number |
25500011
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
樫 則章 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40194766)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 歯科医療倫理 / 歯科医療倫理教育 / プロフェッショナリズム / プロフェッショナリズム教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年7月4日・5日に北九州国際会議場で開催された第33回日本歯科医学教育学会学術大会第1日において「歯科医療人プロフェッショナリズム教育における新しい潮流」というテーマで連携研究者(木尾哲朗、尾崎哲則、平田創一郎)3名と、科研費にて招聘した香港大学のMichael Burrow氏とでシンポジウムを行った。木尾が座長として、プロフェッショナリズム教育の対象を専門職という集団として捉える必要があり、それが今回の企画の意図であることについて述べた後、尾崎が日本歯科医学教育学会における倫理・プロフェッショナリズム教育の取り組みを振り返るとともに、「よき歯科医師になるための20の質問・倫理的検討事例集」(前回の科研費(基盤研究(C)、課題番号:2220035、研究代表者:樫 則章)により作成)の改訂版作成への協力依頼を行った。Burrow氏はプロフェッショナリズムがあいまいな概念であることを指摘しつつ、それがプロフェッショナル・プラクティスのコア・コンピテンシーに含まれるようになった背景として、歯学教育における質の保証が社会から求められるようになったことを述べた上で、香港、ヨーロッパ、オーストラリアにおけるコア・コンピテンシーの各領域を比較した。平田は情意教育における評価の困難さを指摘して、教員による評価のみならず、自己による評価、同級生による評価、患者による評価など、他方面からの評価(360度評価)の必要性とその可能性について指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、大学院歯学研究科における研究倫理教育の実施状況を調査するとともに、そのカリキュラム案を作成する予定であったが、公的研究費の取扱いについて文部科学省から「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」の改正版が平成26年2月に出されるとともに、教育用コンテンツが作製されたこと、また研究不正については文部科学省の「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」が見直され「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」が平成26年8月に出されるとともに、日本学術会議から「科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得-」(暫定版)が同年11月(テキスト版は27年3月31日)が公開されたこと、さらにそれぞれが研究者のみならず、大学院生に対する教育も求めているところから、本研究計画においてあえて歯学研究科における研究倫理教育の必要性を示したりカリキュラム案を作成したりする必要がなくなり、本研究計画の見直しの検討を迫られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度の目標は以下の4つである。第一に、倫理的検討事例の教育における使用状況等を全国の歯科大学・歯学部に対してアンケート調査し、改訂版の作成の基礎資料とする。 第二に、7月に鹿児島市で開催される日本歯科医学教育学会に合わせて、ワークショップ「倫理的検討事例を用いたプロフェッショナリズム教育の展開」を開催して、いわゆる「ジョンセンの4分割法」を使って倫理的検討事例を分析すると同時に、参加者に倫理的検討事例を作成してもらい、それを組み込むかたちで新版の倫理的検討事例集を作成する。 第三に、抜去歯の教育・研究利用の現状を歯科大学・歯学部の病院を対象に調査するとともに、適正な利用法について検討する。 第四に、倫理的検討事例をドラマ化したDVDを作製する。費用等については、すでに2つのプロダクションに確認しており、9月以降、作製に取りかかる予定である。
|
Causes of Carryover |
文部科学省による公的研究費の適正使用および研究不正に関するガイドラインおよびそれらのコンテンツ等によって、当初予定していた大学院歯学研究科における研究倫理教育の実施状況の調査とカリキュラム案の作成がその意義を失い、予定していた研究集会等を開催しなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに作成した倫理的検討事例集およびその改訂版から少なくとも1例についてドラマ化したDVDを作成する。すべてをプロに任せて完成度の高いものを作製すると、1本200万円かかることを二つのプロダクションから見積もりをとって確認している。
|