2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞由来再生心筋細胞を用いた難治性不整脈の治療法の開発
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25505004
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤田 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10306706)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生心筋細胞 / iPS細胞 / 不整脈 / ペースメーカー細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、ブタに心筋細胞およびペースメーカー細胞を移植するための基礎実験、特に心臓に心筋細胞を移植した際の安全性の検討を行った。移植に伴う不整脈の発生頻度を確認するために全身麻酔下でマイクロミニブタへの心筋細胞の移植を行った。心筋細胞をブタの心臓に移植する際に発生する不整脈の有無や、種類、不整脈の発生期間等を観察した。研究の過程でブタへの心筋細胞の移植研究を十分に行うには、大量の心筋細胞が必要であることが明らかとなった。我々は既にスピナーフラスコを用いた回転浮遊培養法を開発しているが(Stem Cells Transl Med. 2014 Dec;3(12):1473-83)、大量培養された心筋細胞を移植に最適な状態で用意するには、心筋細胞にダメージを与える事のない、より効率的な心筋細胞の純化精製法が必要であることが明らかになった。特に未分化幹細胞の混入による腫瘍形成の危険のみならず、繊維芽細胞等の非心筋細胞の混入によるリエントリーの形成が心室頻拍等の重篤な不整脈の原因となることがすでみ報告されており、移植前には極めて純度の高い心筋細胞を準備する必要性がある。また、FACSを用いた心筋細胞とペースメーカー細胞の選別は非心筋細胞の混入があると極めて効率が悪いため、あらかじめ心筋細胞のみに純化精製しておく必要性があることも判明した。未分化ES/iPS細胞と心筋細胞の代謝の相違を研究の結果、多能性幹細胞は解糖系とグルタミン酸化によりATPを合成していることが明らかになった。また、心筋細胞はピルビン酸を効率的に利用しATPを合成していることが明らかになり、新規純化精製法を用いることで心筋細胞中に含まれている未分化細胞の混入率を0.001%以下にまで引き下げる事に成功した。この純化精製法は論文化し、iPS細胞移植による最大の懸念である腫瘍化の抑制が国際的に高く評価された。(Cell Metabolism. 2016 Apr 12;23(4):663-74.)
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Glutamine Oxidation Is Indispensable for Survival of Human Pluripotent Stem Cells.2016
Author(s)
Tohyama S, Fujita J, Hishiki T, Matsuura T, Hattori F, Ohno R, Kanazawa H, Seki T, Nakajima K, Kishino Y, Okada M, Hirano A, Kuroda T, Yasuda S, Sato Y, Yuasa S, Sano M, Suematsu M, Fukuda K.
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Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 23
Pages: 663-674
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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