2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25513001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮川 恒 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10219735)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | de novo sequencing / ペプチド / 質量分析 / 化学修飾 |
Research Abstract |
配列情報がデータベースに存在しない未知タンパク質・ペプチドの配列解析を、質量分析計を用いて行う(de novo sequencing)には、信頼性の高いMS/MSフラグメントの帰属が重要である。しかしながら多くの場合、ペプチドのフラグメント化は不完全かつ複雑におこるため、スペクトルの解釈が難しい。このような問題点を克服する一つの手段として化学修飾法がある。化学修飾をペプチドに施すことにより、フラグメント化を促進することが可能であるだけでなく、解釈の容易なスペクトルを得ることができる。これまでの研究により、プロトン親和力の高いアミジノ安息香酸をペプチドのN末端アミノ基に導入することによって、この目的を達成できることを明らかにしている。しかしながら、これまで用いてきた導入反応(スクシンイミド法)ではリジン側鎖のアミノ基にも導入されてしまい、その場合修飾による効果が失われてしまう問題があった。そこで、当該年度の研究では、アミジノ安息香酸をN末端アミノ基に選択的に導入する手法について検討した。 ペプチドのN末端アミノ基に選択的に導入する方法として、ポルフィリン触媒の存在下でアルキン成分とアミノ基との間で酸化的にアミド結合を形成する反応が知られている。本研究においてはこの反応を適用するため、アミジノ安息香酸と4-エチニルアニリンを縮合させ、これをアルキン成分として用いた。この試薬を上記の酸化的アミド化反応に供したところ、N末端アミノ基選択的に導入されることが分かり、de novo sequencingにおいて有用な修飾試薬となりうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標の一つは、ペプチドN末端アミノ基への選択的なアミジノ安息香酸の導入法の確立であった。この課題については、上記の通りほぼ計画通りに進展している。一方、もう一つの目標であった、N末端側フラグメントの効率的な帰属方法の確立については、安定同位体を導入した修飾試薬の合成によって達成できると考え、現在のところテストスケールではあるが、上記のアミジノ安息香酸を含むアルキン成分に安定同位体を導入することに成功している。この試薬を併用することでN末端フラグメントの効率的な帰属が可能であるものと思われる。これらのことから、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、本研究課題は現在のところ計画通り進展している。次の課題となるのは、ペプチド中に含まれるロイシンとイソロイシンの判別である。当初の計画では、一般的にはその判別が難しいとされる低エネルギーCIDを用いて区別が可能な手法の開発を目指す予定であった。しかしながら、ロイシンとイソロイシンの判別がより容易である高エネルギーCIDによるフラグメント化が可能である質量分析装置を使用できる状況になったため、当初の目的に加えて、高エネルギーCID条件下で、さらに効率的にロイシンとイソロイシンの判別を可能にするような化学修飾法の開発を目指す予定にしている。
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Research Products
(2 results)