2016 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of cesium emitted by the accident of the Fukushima Daiichi nuclear power plant on the ecological system in the Nikko and analysis of the rate of genetic mutation in wild sika deer
Project/Area Number |
25517003
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
小金澤 正昭 宇都宮大学, 雑草と里山の科学教育研究センター, 教授 (90241851)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 えみ子 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20208341)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 放射性セシウム / 森林生態系 / ニホンジカ / 細胞遺伝学的影響 / ミトコンドリアDNA / ヘテロプラズミ |
Outline of Annual Research Achievements |
1、森林生態系における土壌‐植物‐動物系の構成要素間での放射性Csの定量 2016年4,7,10月に採取したシカの筋肉と臓器のCs-137の濃度を測定した。また、ミヤコザサの葉部を8月に採取し、Cs濃度を測定した。肝臓のCs濃度を測定できた個体は2016年は17個体であった。放射性Cs量の計測には、ALOKA AccuFLEX7000およびSEIKO EG&G SEG-EMS GEM30-70を用いた。シカの肝臓における放射性セシウム濃度の測定結果より、各年ごとに平均値±標準偏差を算出したところ、その平均値は2012年から50 Bq/kg以下と検出限界程度であった。それぞれ2012年では45.9±14.1、2013年では23.5±9.5、2014年では29.1±10.4、2015年では23.5±14.1および2016年では19.3±7.7であった。その結果2012年では有意差は認められなかったものの他の年より高い傾向を示した。これは134Csの半減期が2年である事に起因するものと考えられた。 2、シカのミトコンドリアDNAにおける遺伝的変異の解析 2015-2016年に採取した42個体の肝臓からDNAを抽出し、mtDNA D-loop領域をPCRで増幅した後、塩基配列を解析した。次にGENETYX ver.12を用いて、ハプロタイプ型の分類を行った。解析では、2012年からの101個体を含めて解析した。ハプロタイプN1~N5およびH(へテロプラズミ:変異)の6タイプが観察された。各年においてハプロタイプN1の出現率が最も高く、次がHで全て他は10%以下で出現していた。血液および肝臓におけるセシウム濃度(134+137Cs Bq/kg FW)は、50Bq/kg以下であった。シカの肝臓におけるセシウム濃度とmtDNAへテロプラズミ(変異)の出現率の間には関連性は認められなかった。
|