2014 Fiscal Year Research-status Report
畜産物の安全担保:原発事故由来放射線物質の家畜での生殖機能評価・動態・軽減法開発
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25517004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 俊佑 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10313082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 昇 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80243070)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線 / 豚 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.救済された26頭の内今現在(平成27年4月1日)既に半分の13頭が死亡し、死亡平均年齢は6.4歳であった。今現在の生存豚の年齢と死亡豚の今現在の年齢はそれぞれ7.9歳と8.6歳であり年齢は死亡差異の要因と認められない。なお生存されて発情行動、発情周期を正常に表さない母豚の原因究明のために発情行動を表す母豚と表さない母豚共に二日一回に合計10回ほど採血し、末梢血中性ホルモンレベル等を調べて原因を検討した。結果、繁殖豚のエストラジオール正常な分泌に対し非繁殖母豚のエストラジオール分泌が認めなかった。非繁殖母豚9頭の内1頭のみがエストラジオール分泌が認められたが、黄体ホルモン分泌が認められなく何らかの原因で黄体形成ができなくなったのでは中と推移される。原因究明の必要があるし、将来研究計画にも繋がるのではないかと考える。これまでに救済された母豚16頭の内7頭が15回分娩し、167頭の仔豚を産出(雄84頭、雌77頭)した。第2、3世代母豚6頭から子豚103頭を生産し(雄49頭、雌55頭)た。 2.豚における放射性セシウム動態と定期的に血液を採取し生化学および血液学検査行った。 3.研究結果に関して2014年8月20~24日帯広大学にて開催された日本繁殖生物学会にて「放射線被曝原種豚の繁殖性と仔豚への影響」をテーマとした研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.搬入されてから健康回復を主眼とした飼養管理を施し、定期的に体尺、血液生化学および血液学検査等を行って健常性を評価するとともに生殖機能と子孫に対する影響評価が出来るようになった。救済された母豚から167頭の仔豚を生産することができ、またその仔豚(第2世帯)を成豚まで育成し第3世代を生産する段階まで至っている。よって放射線被曝された母豚から生産した仔豚と当牧場で生まれ被曝されていない母豚からも仔豚を生産し被曝が血液成分、血液の生化学指標に与える影響のみならず遺伝的な影響も研究できる段階まで進むことができた。今現在の生存豚は13頭で(雄5頭、雌8頭)であるが、母豚の発情行動が最近観察されなくなって来た。 2.2011年に当牧場にて生産されたヘイレージは低レベルで放射線汚染が確認された。この放射線汚染飼料を用いて育成豚に与え生物学的半減期、血液成分と血液の生化学指標に与える影響も研究に取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
救済された豚の中今現在生存頭数は13頭(雄豚5頭と雌豚8頭)である。第二世代母豚4頭が飼育されており引き続き全頭を体重測定と採血を行い血液成分、血液の生化学指標を測定分析し放射線が豚の健康に於ける影響を調べる。今現在生存豚は13頭の内母豚が8頭母豚いるが発情行動が最近観察されなくなって来た。その原因究明にも取り組みたい。他、2011年に当牧場にて生産されたヘイレージは低レベルで放射線汚染が確認された。この放射線汚染飼料を用いて育成豚に与え生物学的半減期、血液成分と血液の生化学指標に与える影響も研究に取り組む。 また、豚は人と生理学的、解剖学的類似点が多く1940年代からヒト用の臓器移植(異種移植)対象動物として研究が盛ん行われてきたことからも推測できるように、豚を用いた放射線の研究結果は人への外挿が比較的容易に行える可能性が高いと思われる。しかも生命現象の進行速度が人より5倍程度速いことから、発症潜伏期が約10~20年と言われる放射線による甲状腺腫瘍、あるいは他の健康に与える影響などに関して早期に参考可能なデータを提供できるのではないかと考えられる。今回の供試豚の寿命が尽きるまで飼養した場合の知見、世代を重ねた場合の知見などの集積に努めたい。
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