2015 Fiscal Year Research-status Report
畜産物の安全担保:原発事故由来放射線物質の家畜での生殖機能評価・動態・軽減法開発
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25517004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 俊佑 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10313082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 昇 大阪国際大学, 学務部, 教授 (80243070) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線 / 豚 / 低レベル汚染飼料 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 救済された26頭の豚の内、19頭が死亡した。全頭病理学解剖をし、死因確定に至った。7頭生存しており引き続き飼育を含む健康等の追跡調査を行う。今現在生存豚性別年齢は母豚9.8歳と雄豚6.0歳である。性別平均寿命は母豚7.3歳と雄豚7.3歳である。救済後約5年間経つが引き続き定期的に測釈、採血し血液分析と血液の生化学分析検査等を行って臨床学的に健康評価を行なった。死因を特定するために病理学研究室の協力を得て、死亡した場合は全頭病理解剖を行い、試料を採集し病理学研究室に持ち帰って詳細の死因究明を行っていただいた。 2. 福島から救済された豚の子孫である第二と第三世代の豚、育成豚10頭と成豚4頭を用いて低レベルの放射性物質含有(Cs 700~926 Bc/kg)のヘイレージを長期間(30~40日間)給与し、それによる健康に与える影響と体内で移行と排泄率に関して臓器毎に研究を行った。給与中にも定期的に体重測定を行い成長への影響を調べた。血液を採集し血液分析と血液の生化学分析検査等を行い育成豚への健康への影響を調べた。また、給与終了後と一定期間を置きセシウムの排出を臓器毎(心臓、脾臓、腎臓、大腰筋、膀胱、血液、尿、胸腺、脛骨、大腿骨)に調べた。 3. 研究結果に関して(一部)2015年9月17日~20日宮崎で開かれた第108回日本繁殖生物学会大会(放射線被曝原種豚の繁殖性と仔豚への影響)(二)をテーマとした研究成果を発表した。他、"Abdominal Hamartoma with Pancreatic and Hepatic Differentiation in a Sow" テーマとした論文をThe Journal of Veterinary Medical Scienceに投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
搬入されてから健康回復を主眼とした飼養管理を施し、定期的に体尺、血液生化学および血液学検査等を行って健常性を評価した。救済豚を用いて繁殖する事により生殖機能と子孫に対する影響評価が出来るようになった。救済された母豚から167頭の仔豚を生産することができ、またその仔豚(第2世帯)を成豚まで育成し第3世代を生産する段階まで至っている。当牧場には福島第一原子力発電所事故時に生産された牧草が放射性セシウムの低レベル汚染が発生したのでその牧草と第2世帯と第3世代の豚を用いて低レベルの汚染飼料を長期に渡って(30~40日間)給与による豚への移行と健康への影響を調べた。他、第2世帯の母豚4頭を引き続き飼育し(今現在4歳)救済時の豚と健康状態を比べながら分析をしたい。今現在7頭(4頭母豚と3頭雄豚)が生存しており引き続き健康状態を追跡調査し、又死亡した場合今まで通り甲状腺を採集し甲状腺変化をしらべる。この度、工学部の松崎先生のご協力得て甲状腺試料からヨウ素131を推定することが可能になった。129I は半減期が1570万年であり、宇宙線やウランの自発核分裂によって常に一定量が大気中に放出されている。又、127I は通常のヨウ素で常に海水中に一定量が存在する。他、129I/127I は天然存在比1500×10-15と推定される。生物に取り込まれたヨウ素の同位体の比率により131Iを求めることが可能である。TSH,T3とT4の変化と甲状腺の変化を照り合わせながら研究を続けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
救済された豚の中今現在生存頭数は7頭(4頭母豚と3頭雄豚)である。歳の所為で母豚全頭の性周期が働かなくなり繁殖は不可能になっている。よって、第二世代母豚4頭が共に飼育し続き、引き続き全頭を体重測定と採血を行い血液成分、血液の生化学指標を測定分析し放射線が豚の健康に於ける影響を調べる。また、期間中病死豚が出た場合引き続きの全頭病理学解剖をし、死因確定に努める。第二世代母豚4頭は今までの救済された豚達のデータを比べたいので引き続き飼育していきたい。また、今まで採集してきた血液を用いて甲状腺ホルモンであるTSH、T3とT4等ホルモンを測る。救済された豚達はヨウ素131を大部吸い込まれたと推測できる。工学部の松崎先生のご指導の下で甲状腺試料から半減期が1570万年である129I を測定していただき、生物に取り込まれたヨウ素の同位体の比率により131Iの求めを行い、TSH、T3とT4の変化と甲状腺の変化を照り合わせながら研究を続けたい。
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Causes of Carryover |
試料の数と測定キットを合わせて購入する事により無駄を無くすためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試料測定必要な測定キット購入と学会発表、論文発表に使う。
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Research Products
(3 results)