2013 Fiscal Year Research-status Report
放牧牛および舎飼牛における畜産物への放射性セシウムの移行阻止と回収技術の確立
Project/Area Number |
25517006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
井上 達志 宮城大学, 食産業学部, 教授 (20264351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 光晴 宮城大学, 食産業学部, 教授 (40151386)
須田 義人 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (90404847)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 畜産 / プルシアンブルー / 除染 |
Research Abstract |
本研究では、家畜より回収した排泄物から放射性Cs を効率よく取り出すことを目的に、磁性機能を持つ磁性体プルシアンブルー(PB)をヤギより回収した排泄物から磁石を用いて回収する方法を検討した。 【方法】 実験1:供試ヤギ(雌3 頭)を代謝ケージに入れ、通常飼料給与、PBあるいは磁性体PB およびCs133混合投与、Cs133混合投与の3 期間より各期間の排泄物を回収して、含まれるCs133量を測定した。また、各期間の最終日に採血を行い、生化学検査(GPT、CRE、ALP、GOT、BUN)と血清中K 濃度の測定を行った。 実験2:実験1において採取した磁性体PB を投与した期間の糞から、永久磁石(10000G)を用いて磁性体PB を回収し結合したCs133 の回収率を検討した。 【結果と考察】 実験1:各期間の排泄物におけるCs133 の回収率は通常期間において93.2%であるのに対してCs133 のみ投与期間では64.8%となった。一方、PBあるいは磁性体PB およびCs133 投与期間ではそれぞれ103%および108%となり、磁性体PB のCs吸収抑制効果が確認された。生化学検査の結果は正常値の範囲内であり、K 濃度の低下も見られないいことから、磁性体PBによる放射性Cs の除染は家畜の健康を損なうことなく可能であることが示唆された。実験2:糞中磁性体PB におけるCs133 回収率は55.5%となり、与えたCs133 のうち半分以上が回収された。今回は投与した磁性体PBのうち磁石で回収できた磁性体PB量が71.7%であったが、仮に全量を磁石で回収できた場合、糞中磁性体PB 中Cs133 回収率は76.7%になると算出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヤギを用いての磁性体PBの投与による飼料に混合したセシウムの吸収阻害作用および糞からのセシウムの磁石による回収の有効性は確認された。しかし、当初に計画した、泌乳牛による同様の試験は、PBが飼料添加物あるいは獣医用薬として認められていないためこれをを投与した乳牛は廃牛とせざるを得ず、供試する泌乳牛の確保が遅れている。これについては現在のところ協力関係機関と調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究遂行上の課題は、供試動物の確保(PBを一度でも投与した、乳牛からの生乳および肉牛は出荷できない)であり、これらが確保されれば現在のところ特に大きな課題等はなく、これについては現在調整中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は、当初に計画した泌乳牛による同様の試験は、PBが飼料添加物あるいは獣医用薬として認められていないためこれをを投与した乳牛は廃牛とせざるを得ず、供試する泌乳牛の確保が遅れ実施できなかったため。 当初の計画どおり泌乳牛を用いた試験を行えるよう、供試牛の確保について調整中であり、当該試験の実施費用として使用する計画である。
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