2013 Fiscal Year Research-status Report
化学物質のビッグデータ革新―埋蔵分子の理論的発掘とデータケミストリの新展開
Project/Area Number |
25540017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
佐藤 寛子 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (50291068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 毅明 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (00302977)
新井 紀子 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 教授 (40264931)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 埋蔵分子 / 化学反応経路探索 / 量子化学計算 / データケミストリ / ケモインフォマティクス / データマイニング / 可視化 / グラフィカルユーザインタフェース |
Research Abstract |
本研究では、理論的に存在が予測されるが未だ存在が確認されていない化学物質「埋蔵分子」を理論的に探索・発掘し、これらを供給する化学反応経路を分子のポテンシャルエネルギーや電子状態に関する種々のパラメータとともにデータベース化し、ウェブを介して利用できるシステムを構築することを目的としている。特に、本研究期間では、データ自動創出→登録→検索・表示の一連の基本動作が可能なシステムの核を集中的に構築し、研究期間中に研究者向けの公開を目指している。 平成25年度は、データベース、ウェブシステム、データ登録、可視化についての基本設計・仕様を確定し、開発を開始した。特に理論的に探索された化学反応経路データを視覚的に検索・解析できる可視化ソフトウェアを中心に開発・実装を行った。化学反応経路解析を行う研究者を想定した利用形態のシミュレーションに基づき、種々の検索事例を想定し、検索アルゴリズムの開発を開始した。本検索アルゴリズムはグラフィカルな可視化と連動するものとし、利用者は化学反応経路データをインタラクティブに操作しながら検索を行うことができるシステムとして設計した。現状のシステムは、探索された化学反応経路データ全体の化学反応ネットワーク図を表示する機能、指定したノード(分子)を出発点としたポテンシャルエネルギーの大きさを縦軸とするエネルギープロファイル図の表示、各ノードの分子の3次元分子モデルの表示、選択した化学反応経路に沿った3次元分子モデルの分子構造変化をムービーにて表示する機能等を既に実装済みである。既知データとのマッチング方法についても検討し、分子の線形表記コードを用いてアプローチを試みることとした。このために、化学反応経路データに、SMILES, InChi, CAST-planeの3種類の線形表記コードを組み込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の交付申請書に記載した研究計画に沿って研究を進め、特に可視化と検索アルゴリズムについては、当初の予定よりも遥かに進んだ成果を得ることができた。一方で、データベースシステムに関しては設計を行ったのみで、実装には至っていない。研究準備段階で開発していたプロトタイプシステムをもとにして開発を進めるか、あるいは新たに作り直すかを検討している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に、まずはユーザからのフィードバックを目的として、開発中のソフトウェアを一般公開する。現行のソフトウェアは、化学反応経路解析を専門とする研究者を主要ユーザとして想定したものであり、ユーザはソフトウェアをダウンロードし、個々のPC(対象はMac-OS)で利用することができるものとする。現在のソフトウェアはSmalltalkにて開発を行っているが、これをJava等のより汎用性が高い開発言語に移植し、平成26年度末にはオープンソースとして公開する予定である。平成27年度(最終年度)までに、並列処理型の化学反応経路探索プログラムとの連携を行い、データ自動創出→登録→検索・表示の一連の基本動作が可能なシステムの核を集中的に構築する目標を達成する計画である。
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