2014 Fiscal Year Research-status Report
化学物質のビッグデータ革新―埋蔵分子の理論的発掘とデータケミストリの新展開
Project/Area Number |
25540017
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
佐藤 寛子 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (50291068)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 毅明 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (00302977)
新井 紀子 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 教授 (40264931)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 埋蔵分子 / 化学反応経路探索 / 量子化学計算 / データケミストリ / ケモインフォマティクス / データマイニング / 可視化 / グラフィカルユーザインタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、理論的に存在が予測されるが未だ存在が確認されていない化学物質「埋蔵分子」を理論的に探索・発掘し、これらを供給する化学反応経路を分子のポテンシャルエネルギーや電子状態に関する種々のパラメータとともにデータベース化し、ウェブを介して利用できるシステムを構築することを目的としている。特に、本研究期間では、データ自動創出→登録→検索・表示の一連の基本動作が可能なシステムの核を集中的に構築し、研究期間中に研究者向けの公開を目指している。 平成26年度は、理論的に検索された化学反応経路データを視覚的に表示・検索・解析できる可視化ソフトウェアの機能強化を行い、平成26年7月より一般公開を開始した。 具体的には、化学反応ネットワーク中の2つの分子を反応物と生成物として指定すると、2分子を結ぶ経路を列挙し、遷移状態エネルギーや反応ステップ数などに基づいて優先順位をつけて出力すること、出力された経路を選択すると、その経路に沿ったムービーとエネルギープロファイル図が連動して可視化されること、などの新機能を開発・実装した。平成25度に実装した分子構造の線形表記コードを用いた簡易検索機能も搭載した。また、開発はMac OSを中心に進めているが、本ソフトウェアを中心にチュートリアルを実施し、そこで得られたユーザの要望に基づき、Windows版も開発し、合わせて公開した。可視化ソフトウェアはSmalltalk言語で実装を進めているが、これと並行してより一般的な言語としてSCALA言語を選択し、移植作業を開始した。可視化ソフトウェアの機能を利用した種々の応用研究にも取り組み、結果の一部を国際会議等で報告した。さらに、化学反応経路探索の解析をきっかけとして、埋蔵分子やその候補となる構造がいくつか見つかってきており、成果の一部を学術論文にまとめて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って順調に研究を進めてきている。特に、可視化・解析ソフトウェアに関しては、かなり機能を充実させることができてきており、予定通り一般公開に至っている。ただし、機能の充実を優先したことから、同じく平成26年度に予定していた、他言語に移植したコードのオープンソース化は先に延ばした。「埋蔵分子」発掘の応用研究についても計画以上のペースで進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度(最終年度)は、可視化・解析ソフトウェアの検索Queryの充実も含め、機能の拡張を図り、並行してSCALA言語への移植も進める一方で、データ自動創出→登録→検索・表示の一連の基本動作が可能なシステムの核を集中的に構築し、研究計画に記載の目標を達成する計画である。応用研究の「発掘」も多様な方向に進め、国内外への研究成果の発表も積極的に実施する。
|
Research Products
(6 results)