2013 Fiscal Year Research-status Report
テレプレゼンスにおける身体イメージのプロジェクションに関する研究
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25540090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小鷹 研理 名古屋市立大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (40460050)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体イメージ / テレプレゼンス |
Research Abstract |
本研究の目的に沿って、ユーザが、ディスプレイ上のポインタをユーザ自身の身体イメージの延長上に位置づけることを強く促すためのインタフェースシステム「ラバーハンドポインタ(RHP)」を実装した。実装にあたって、大型ディスプレイの背面に、操作面としてトラックパッドを装着した。背面から5本の指でトラックパッドを操作する際に、指の身体構造を正しく反映するかたちでディスプレイ上に"手の疑似モデル"を投影することで、「体性感覚ー視覚刺激」の時間的・空間的同期を実現した。本システムにおいて、ユーザは、ディスプレイ手前に水平方向に設置されたアームに肘を立てかけた状態でトラックパッドの操作を行う。アームの内部には接触センサが埋め込まれており、肘の位置を継続的に検出し、前腕の方向を正しく推定することが可能である。これらの情報をRHPの表示に反映させることで、空間的な同期性をより高めることに成功した。本システムを使って、ディスプレイ上に呈示されたRHPの内外における光の検出速度の変化に関する実験を行ったが、本システムの有効性を明らかにするには至っていない。 身体イメージを別空間に投射するうえで重要な変数を検討するために、セルフタッチイリュージョン(STI)における身体イメージのドリフトが、左右の手の姿勢の変化に応じてどのようにその特性を変化するかを調べる被験者実験を行った。その結果、1)掌を接地することで、身体イメージの変化が生じにくくなること、2)身体の空間構造の観点から矛盾の少ない(従ってイメージすることが容易な)姿勢において、より強い身体イメージの変化が誘発されること(anatomic plausibility)、3)体性感覚と触覚間で相互に矛盾する情報を与えることで、やはり身体イメージの変化が誘発されやすくなること(anatomic dissonance effect)を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
映像メディアによる身体投射の効果を調べるためのシステム(ラバーハンドポインタ;RHP)を実装した。このシステムが、身体イメージの投射レベルを高めることに寄与するかどうかを検証する実験をすすめているところであるが、現在のところ有効な結果を得るに至っていない。 セルフタッチイリュージョンの実験により、身体イメージの変形を促す要因を抽出した。本成果は、研究計画の中で明示的に盛り込まれていなかったものであるが、RHPのシステムに応用可能な興味深い知見であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、RHPの背面に設置された操作面をより広いデバイスに拡張し、入力にかかる操作者の空間的制限をなるべく少なくするべく改良を行っている。改良したシステムを使用して、身体イメージの投射レベルを計測する実験を行う予定だが、この際、測定のための指標を精査する必要がある。また、STIに関連する実験の成果を応用することで、RHPのシステムに「触覚-触覚間の同期」による効果を統合することは、本プロジェクトに、興味深い展開を与えるものであろう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ジャーナルへの投稿や被験者実験のスケジュールが予定より遅れているため。 被験者実験のための謝金、ジャーナルへの投稿に発生する経費に宛てる。
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Research Products
(6 results)