2013 Fiscal Year Research-status Report
先端科学と小中学校理科の授業のつながりを実感できるプログラム開発と実践・展開
Project/Area Number |
25560071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
貞光 千春 お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 特任准教授 (50372420)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 実験プログラム開発 |
Research Abstract |
25年度は先端科学と単元のつながりを意識したプログラム開発を行い中学校等で実施した。 ① 簡単旋光計:「光の世界」(中1)の発展として旋光計の設計、作製を行った。東京都北区教育委員会の委託で実施したサイエンスラボ(2013年8月中学生32名)「光と色のミステリー」で中学生が旋光計を組み立て、「ショ糖溶液」を使い旋光性を観察した。 ② ホタルが光るしくみと酵素反応:「動物のからだのつくりとはたらき」「わたしたちのくらしと化学変化」(中2)の発展。ホタルは化学反応で光る。温度によって発光色が変化することを観察し、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応の発光が酵素の遺伝子変異で色が変わる理由を結晶構造解析で行った研究(Nakatsu et al. Nature 440 (2006) )を紹介。反応にATPが必要なことを利用したルミテスターを使い手洗い前後の清浄度検査を行い、身近な分野への応用を紹介した。平成26年1-3月に文京区立中学校10校(623名)で出前授業を実施し、アンケート結果では『楽しく学習できた』へ78%、『自分から進んで学習に参加することができた』へ「大変そう思う」「そう思う」を併せて66%が回答し、高い満足度が得られた。 ③ チョコレートの融点:「物質の状態変化」(中1)の応用。教科書では融点は物質により異なると学習する。チョコレートはカカオ産地の環境(気温)により、含まれる物質(トリアシルグリセリドの炭素鎖の長さ)が変わり、融点が変化する。製品では物質の割合や種類を変え、口どけを調節し、おいしいチョコレートにすることを紹介し産地の異なるチョコレートが口の中で消える時間を比較した。パイロット実施として大学生向けの講義で実験した(平成25年12月)。 ①②の学校への展開はそれぞれ東京都北区、文京区教育委員会からの委託研究と共同で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学と小中学校の教育現場との連携の問題点解消への貢献を目的に、先端科学を取り上げつつも、身近な例や授業単元との関連が実感できる『ストーリー性』『手軽さ』がある魅力的なプログラムの開発目指した。25年度は計画では「簡単旋光計」のみであったが、加えて「タンパク質と酵素」「化学物質と融点」のプログラム開発を行い、それぞれ中学校や中学生対象もしくは大学生に対するパイロット実施を行った。教科書単元からの発展した実験内容であること、先端科学や身近な応用例につなげること、を意識し、アンケート結果からも高い満足度を得られ、魅力あるプログラムに近づいていると思われる。25年度の計画としては順調に進んでいる。プログラム開発の後、26年度は中学校の教員が取り組みたいと思えるような工夫を行い、評価する必要があると考えているため、研究全体の目的への達成度としては、半分程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、引き続きプログラム開発を行いながら、開発したプログラムを小中学校教員が利用したいと思えるパッケージ化を進める予定である。忙しい教員がいかに利用したいと思えるかのためのハードルは決して容易ではないので、これまで築いてきた教員との信頼関係をいかして、意見や評価をいただき、さらにプログラムのブラッシュアップを行って、小中学校の現場で実施し、展開していく。また開発したプログラムについては、科学教育学会等において、その成果を報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は本研究で行うプログラム開発と実施を東京都北区教育委員会、文京区教育委員会からの委託研究との共同で行い、予算はその多くをそちらで負担したため、支出が少なかった。 25年度は当初の計画では旋光計のみの開発であったが、それより多い3プログラム開発を行った。26年度はそれぞれをキット化し複製を行い、小中学校現場に届ける予定である。また26年度も引き続き、当初1つであったプログラム開発を複数行う予定であるために25年度の繰り越し分を使用する予定である。
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