2014 Fiscal Year Research-status Report
ミュージアム展示を科学的思考力育成の場に変える発問群による教育実践モデルの開発
Project/Area Number |
25560084
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中山 迅 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90237470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 高明 聖徳大学, 児童学部, 教授 (80413904)
大石 和江 東京理科大学, 近代科学資料館, 学芸員 (80646430)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / ミュージアム展示 / 発問 / 科学的思考 / アートの扉理論 / 科学系博物館 / 自然系博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
アートへの扉理論は、鑑賞者が「モノ(Object)」、「主題(Subject)」、「文脈(Context)」から学習活動を検討するモデルである。博物や美術館などの「ミュージアム」の展示において、対象の物理的な特徴である形や色、動きなどの「モノ(Object)」、及び、対象はどのように用いられ主題は何かなどの「主題(Subject)」は、学習活動で取り扱われることが多い。一方、それがなぜ博物館にあるのか、なぜ美術品になったのかという歴史や社会状況などの対象を成立させる「文脈(Context)」は問われることが少ない。本年度は、特に「文脈(Context)」に着目し、基礎力・思考力・実践力から構成される21世紀型能力の実践力に関連することを論文等で検討した。また、文脈を踏まえた教材作成や鑑賞活動に関する学会発表等を行った。 東京理科大学近代科学資料館における科学技術史展示の中で、既存の歴史の流れに沿って見学することにより得られる科学技術史の発展の発見とは異なる、新たな視点を持ち、横断的に展示の中から科学に対する理解を深め新しい価値を見出すための発問の作成を試行した。「計算機の歴史」「録音技術の歴史」および「物理学校の歴史の部屋」展示を用いて,中学校の理科第一分野の「電流と磁界」での学習指導要領に沿った授業活用が可能となる発問開発については、「電磁誘導」の理解を促す補助教材の開発と各展示の結び付けが来年度の課題として残った。これらについては,日本科学教育学会の年会において「課題研究」として発表した。 宮崎県立総合博物館の展示物を対象として,小学校理科の学習内容である「昆虫の体のつくり」をテーマとする質問カードの作成を試行し,それについて日本科学教育学会研究会で発表した。そして,週末に実施される「クイズラリー」に参加する来館者の児童・生徒を対象として,作成した質問カードの利用を試験的に実施し,参加者に対して質問紙調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アートの扉理論を自然系・科学系博物館の展示物に対するアプローチに用いるための試みについて,東京理科大学近代科学資料館と宮崎県総合博物館において取り組んでいる。東京理科大学近代科学資料館の展示物を活用して作成した発問については,中学生にとっては難解過ぎることが分かっており,これを実用可能なレベルの発問とすることが課題として残っている。宮崎県総合博物館の展示物については,簡単な内容であればある程度利用可能なレベルの質問群を作成可能であることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
東京理科大学近代科学資料館の物理系の展示物を対象とした発問系列を,中学生に利用可能なレベルに落とし込むことが今後の課題であり,最終年度はこのことに取り組む。また,宮崎県総合博物館での取り組みでは,生物系の展示物について,中学生に利用可能な発問系列を作成・実施して成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
教材作成に使用する物品費や記録媒体の購入費が計画よりも安くすんだため。次年度の使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に使用する記録媒体や教材作成の費用として使用する。
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