2013 Fiscal Year Research-status Report
科学教育のグランドデザインを導く新原理の探究-規範理論と公共政策学を参照して-
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25560087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小川 正賢 東京理科大学, 科学教育研究科, 教授 (80143139)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 科学教育原理 / グランドデザイン / 規範理論 / 公共政策学 |
Research Abstract |
研究計画に沿って,最新の文献(「規範理論」「公共政策学」「科学教育」)を入手し,研究動向のレビューを行った.また,予定していた American Educational Research Association の年次大会に参加し,特に,科学教育以外の領域での,Social Justice, Communities, Activism, Sustainability, Public Policiesといった研究動向の情報を収集してきた.これらの情報収集を踏まえて,予備的な考察をとりまとめ,日本科学教育学会の年会(三重大学)で,「科学教育への規範論的アプローチ-公共政策としての科学教育に求められる規範論-」として発表を行った.発表では,「科学教育の古典的価値論」「科学教育の「公共政策」性」「規範理論からみた科学教育」「公共政策規範論からみた科学教育」「未来学と科学教育」「シナリオ・プランニングと科学教育」という論点を設定し,議論を展開した. これらの過程において,科学教育の目的・目標論を「目的・目標の設定者として誰がその権利を有するべきなのか」という論点と,「教育対象者としての児童生徒が15年後,20年後に生きている社会を想定することなく,科学教育の目的・目標論を展開することは不可能」との認識にいたり,次年度では,「近未来社会として日本人はどのような規範的社会を標榜しているのか」を明らかにするためのWeb調査を企画する予定である.なお,科学教育の目的・目標論に関する研究成果の一部については,依頼原稿として,「広島大学教職課程シリーズ第二期第1巻,中学理科・高校理科」(協同出版,2015刊行予定)に「第二章 科学の教育的価値と理科の教育目的論をめぐって」を執筆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究活動は,ほぼ達成した.
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Strategy for Future Research Activity |
海外の研究者との意見交換や研究発表の情報を通して,この研究課題に具体的に関連する体系的な研究はほとんどないことがわかった.次年度については,NARST2014に参加し,科学教育研究者の本研究課題に関連する研究動向を確認することと,未来志向の科学教育(futures-oriented science education)という教育運動の実態を知るためにニュージーランド,ワイカト大学を訪問調査することを行い,また,一般的な日本人が,15年度,20年後の近未来社会をどのように思い描いているかに関する情報を調査で得ることで,どのような規範が人々の間に保持されているかを明らかにしたい.そして,そのような情報に基づいて,科学教育という教育実践の新しい規範を明示したいと考えている.
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Research Products
(1 results)